雑誌を買わなくなった理由から、欲しい雑誌を考えてみたアイデア発想実践記(2/3 ページ)

» 2012年05月22日 13時15分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

IT業界人が思う「こんな雑誌がほしい」

 以下、各自が出した解決アイデアです。

鷹木さんの解決案:5個
欠点 解決アイデア
有料 無料にして押し付ける(コントロールドサーキュレーション※)
誰が書いたか分からない ブロガー本、書籍(既にあるか……)
時間が取れない 消える素材を使う(時間の経過とともに紙が消えて行くので「早く読まねば」という気にさせる)
ツイートやいいネ! ができない QRコードで実現可能?
連載マンガを作者のペースに合わせて読むのがつらい 2次創作する漫画家を別途用意し、同じキャラを使ってパラレルワールド的に複数のストーリーを展開させ、本連載の間の時間が稼げる。しかも、別ストーリーが人気を獲得する可能性もある

※特定のターゲットに絞って無料で雑誌の配布を行うことにより、効率よく広告収入を得ることを目的とした、印刷メディアのビジネスモデル

上口さんの解決案:4個
欠点 解決アイデア
どうせスポンサータイアップのオンパレードでしょ? PR記事が分かりにくいのが原因なので、全誌共通でPRの場所を決めたり、PRアイコンを目立つものに統一する
一部書店で立ち読みできない 立ち読み専用の電子書籍をコンビニに設置する。CDショップにある試聴機のイメージ
場所を取る 全国的に雑誌を捨てる場所を増やす=捨てる面倒を減らす。例えばコンビニに不要な雑誌を持ち込むと、お店で使えるポイント(キャッシュバック)がもらえる=集客効果
電車内でグラビアページを見るのが恥ずかしい 色つきの下敷きで隠せる工夫をする(受験生の単語帳のイメージ)

中山の解決案:4個
欠点 解決アイデア
劣化してしまう クラウドに保管。スキャンして個人しか見られないストレージに入れる権利も付いてくる雑誌(関連アイデアとして、「ページの四隅にショットノート用マークが印字された雑誌」にすれば、個人で気軽に自炊できる。さらに出版社とノートサービス提供企業の間で、レベニューシェアできる仕組みができたら素晴らしい)
有料 読み放題にする。DVDのネットレンタルサービス「ぽすれん」のように何冊読んでも月額固定費しかかからない。読書家にはありがたいサービス
時間が取れない 風呂で読める防水仕様。風呂は1人でリラックスできる数少ない場所なので、風呂で読むという切り口の雑誌があれば。濡れた手でページをめくるのが面倒なので、Podcastingのように音声で読み上げてくれると目も休まる
広告ページにお金を払うのがもったいない (マンガ雑誌の場合)広告そのものもマンガにしてしまう。そうすることで、つい広告まで読んでしまう仕掛けになるし、なんとなく得した感も残る

とっつきやすさはあるが、気になる点も

 今回は、全員が似た境遇(IT業界)に置かれていることや、同じような理由で雑誌を買わなくなったことが事前に分かっていたので「似たアイデアがかなり出るんじゃないか」と予想していました。そして、ほぼその通りになりました。

 実現できるかどうかはさておき、毎回この連載では最終的に全員が「これはイイ!」と思えるアイデアが1〜2個はでき上がるのですが、今回は「強いて挙げるなら、これかな?」くらいの感じになりました。それが次の2つです。

  1. 各ページにショットノート風の読み取りマークが印刷してある自炊支援サービス付き雑誌
  2. オリジナルの裏版として、2次創作作品だけを集めたパラレルストーリー漫画雑誌

 発案者の1人が言うのもなんですが、購買行動につながるかどうかはやや疑問です。

 欠点列挙法をやってみた印象としては、

(1)とっつきやすい

 普段感じているモヤモヤした不満をあげつらうことからスタートできるので、何はともあれとっつきやすい。よって、割とスムーズにペンは進む。が、出した欠点リストそのものはアイデアではなく、タネでしかない。※「批判するなら解決案もセットで考えよう」とは書きましたが、出した欠点全てに対して解決アイデアも出さなければならないわけではないです。そうしてしまうと自由な発想の妨げになりますので。

(2)広がりが限定的?

 他の発想法に比べ、創造性や意外性をやや欠いた議論になってしまったかな? という感覚が残りました。「こんな欠点があります? じゃあこう解決します」といった感じで議論が進んでしまったからかもしれません。前回の希望点列挙法の方が、独創性など予想外の方向に広がってくれたと思います。


反省点とメンバーのコメント

 以下、各メンバーのコメントです。

中山

今回のような「どんな雑誌なら買うか?」というスクラップ&ビルド的なテーマと欠点列挙法はピッタリとはかみ合わない気がしました。「新社会人を書店に来店させるにはどうすればいいか?」など、既にあるものを改善、改良するというテーマ設定なら、この技法はうまくハマる気がします。


鷹木

欠点列挙法って欠点から入るので、こちらの気持ちがなんとなくネガティブになってしまうのが気になります。欠点を挙げれば挙げるほど「ああ、本当にダメだな」となってしまうので、次のタームで改善アイデアが出にくくなるような……。なので本当にダメなものではなく、欠点が見当たらないような製品やサービスをテーマに設定し、改善アイデアを出すほうが向いているような気がします。


上口

中山さんも言っているように、今回のテーマの場合は「こうなればいいな」もしくは「(今ある良さに加えて)もっとこうなればいいな」というプラス面から発想した方がいいと思いました。ただ、欠点列挙法自体については、日ごろ何かしら思っている不満からの逆転の発想で、アイデアは出しやすいと感じました。どうしようもできない欠点もあると思うので、全てが発想につながるかは難しいかもしれませんが。



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