レディー・ガガのチケットと病院の予約券、許せるダフ屋は?――マイケル・サンデル教授の「民主主義の逆襲」5000人が白熱した特別講義(5/6 ページ)

» 2012年06月05日 18時05分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]

ダフ屋行為が許せるチケット、許せないチケット

サンデル 別の例を挙げたいと思います。自由市場を適応して販売しているチケットの話です。ロックコンサートや野球のワールドシリーズの試合、誰もが手に入れたいと思うチケットです。そうしたチケットの売買は時々ダフ屋が仲介してしまうよね。チケットを買い取って、別の人に高額で売り付ける人たちです。

 ここで皆さんに質問です。

米人気歌手のレディー・ガガのコンサートがあり、チケットが販売されています。中にはダフ屋もいて、皆がほしいとい思うチケットを数倍の値段で売っています。あなたはこうした自由市場の在り方について、賛成ですか? 反対ですか?

サンデル 今回の質問でも意見が半々に分かれていますね、ただ、どちらかと言うと賛成、つまりレディー・ガガのコンサートチケットでダフ屋が出るのは構わないといった人の方が若干多いようです。

 では違った例を上げてみましょう。やはりチケットのダフ屋の例です。同じような意見か、皆さんにもう一度聞いてみたいと思います。

 私が中国に行ったときのことですが、北京の病院の外で長い行列ができていました。田舎から出てきた患者が、医師の診察を受けようとして行列を作っていたんです。その人たちは夜通しまたは数日間待たなければ、医師の診察を受けられないそうです。朝9時になると受付が始まり、医師の予約券が配られます。予約券自体はそれほど高価なものではありません。ただ、限られた数の予約券しかないんです。

 そしてダフ屋が気が付きました。これがビジネスになると。ホームレスなどを雇い、行列で待ってもらって、予約券を手に入れるんです。そしてその予約券を、レディー・ガガのコンサートチケットと同じように売りつける。例えば「リュウマチ専門医の予約券ですが、いくら払いますか?」という形で売りつけているんです。これも自由市場ですね。では皆さんに意見を聞きたいと思います。

病院の予約券を競りにかけて売るダフ屋行為は、自由市場の在り方として構わないですか? 間違っていると思いますか?

サンデル 今回はかなり違った結果になりましたね。大多数が「間違っている」で、「構わない」という答えは少数という結果になりました。では皆さんの意見を聞いていきましょう。まずは予約券のダフ屋行為は何かおかしいと思う人、理由を教えてください。どういう理由で間違っていると思いますか?

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