空いた時間がもったいない! スマホで時間を作り出すRe:Work !(3/3 ページ)

» 2012年07月13日 14時25分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]
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私はこうして時間を作り出した

 少し、具体的に以前の私を例にとってご紹介しよう。私が本格的に隙間時間を意識し始めたのは、子供が生まれたことがキッカケだった。それまでは毎日残業が2〜4時間ほどで、月に1〜2回は休日にも仕事をしていた。しかし子供ができたことで「家庭にいる時間を増やしたい」という思いが生まれたのだ。

 仕事の効率は決していい方ではなかった。特に社会人になりたてのころは上司から細かな指摘もよく受けていたので、自然と1つ1つの作業が慎重になっていた。もちろん正確さは大切なのだけど、必要以上に時間を費やす必要はあったのだろうか。

 外に営業へ出る際にも、ほとんど携帯をいじるか、読書する程度。特にやることがないときは、ボーッとして過ごすこともあった。アポとアポの間に空き時間ができれば、むしろ「やった」くらいに思っていたのが正直なところだ。

 いざ業務効率を上げようと思ったときに、まず考えたのが「隙間時間の活用」だった。そのために行ったのが、業務の切り分けである。つまり「社内でしかできない仕事」と「外からもできる仕事」を明確にしたのだ。

 前者はどうしても社内にいなければできないので、隙間時間の活用は難しい。しかし後者は違う。例えばよほど急を要するものでない限り、メール返信や折り返し電話は外に出ている時間(移動時間や空き時間など)で行うべき仕事だ。

 書類の確認や営業先のリサーチなども、移動しながら行うようにした。営業で得た情報はすぐに手書きもしくはメール分で軽くまとめておくことで、会社に戻ってからデータ化するまでの作業を減らした。この「隙間時間での仕事」には、スマートフォンなどの電子端末が大きく貢献してくれた。

 もう1つ重要なポイントとなったのが「時間の見える化」である。毎日の残業時間はもちろんのこと、会議や外出などに何時間使ったのか。逆に隙間時間が何時間あり、その中で何を実行できたのかなどを記録していった。それを毎日見直すことで「もっとこうできた」という気づきが生まれて改善につながる。

 結果的に私の残業時間は、月10時間以内が平均となった。以前は月換算で40〜80時間ほどの残業があったわけだから、少なくとも30時間以上もの時間を手に入れたわけだ。1日が24時間なのだから、これは休暇が1日増えた以上の時間である。もちろん休日出勤もしなくなった。

 こうした業務効率化への取り組みは、周囲からの反感もあった。「お前に効率良く仕事をするのは向いていない」「もっと働け」と言われたこともある。中には早く帰る私の姿に皮肉を言う人だっていたが、それは関係のない話だ。やるべきことをやり、その上で自分の時間を作り出しているのだから、誰にもそれをとがめることはできないだろう。最初はなかなか効率化が進まず、むしろ非効率を生み出したり、失敗を起こしたりしてしまうこともあったが、その苦労を越えたからこそ私は時間を作り出せたのだ。

 お陰で生まれてきた子供の成長をより多く見ていられたし、時間のゆとりが心のゆとりにもつながり、むしろ仕事にもやる気を持てた。まさに好循環と言えるだろう。

時間を価値あるものにするために

 私は現在、いわゆる「ノマド」的な働き方をしている。つまり、どこにいても仕事ができる環境だ。ノートPCやiPhone、iPadを多用することでこそ、このスタイルは実現している。

 1日に2件以上の外出がある場合、私はほとんど外で過ごす。なぜなら、移動を減らすことで時間を有効に使いたいからだ。一度事務所に帰ってからまた出て行くのでは、非常に効率が悪い。もちろん電車などでもスマートフォンやタブレットでできることはあるが、機密事項への配慮が必要であることや、電車が混んでいると作業ができないというデメリットがある。

 業務状況に応じて持ち出す機器を使い分けており、

  • 複雑な作業(データ処理や資料作成など)を行う場合はノートPC
  • メール処理や資料確認などが中心ならiPad
  • アポの間に隙間の時間がなく、そのまま帰ってくるならiPhoneのみ

 といった具合にしている。やはりドキュメント作成やExcelのデータ処理などはノートPCの方がスムーズだし、作業スピードが変わってくるからだ。逆にノートPCは起動に時間が掛かるので、メール処理程度であればiPadの方がサクサク進む。こうした細かな工夫が、効率アップの鍵になっているのだ。

 もちろんこうした電子機器を購入するには、お金が掛かる。しかし数万円の投資で将来的に何十時間もの時間を効率化させられるのであれば、費用対効果は抜群だろう。あとはその時間を、どれだけ価値あるものとして活用するかである。

 私にとって、スマートフォンやタブレットなどは「時間を作り出すための武器」だ。素手でもダメージは与えられるが、武器を装備するとより多くのダメージを与えて早く的を倒せるRPGゲームのキャラクターのように、私はこの武器によってさらに多くの時間を作り出す。そして使い手としてのレベル(自分自身の業務スキル)を上げることで、私は多くの時間を得ることができるのだ。

 ただし外部での業務処理やグループウェアなどへのアクセス、メール送受信などは、会社によって制限されていることがある。この点については、事前に確認しておこう。

 「隙間の時間」は、気づかないだけで山ほどある。勤務時間のうち「本当に仕事をしている時間」はどれだけなのか。次回は、このことについて触れてみたい。

著者紹介:三河賢文(みかわ・まさふみ)

 1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。


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