「未来はこっちだって僕は信じてる」――文具王らが語るデジタル化ツールのこれから(前編)ScanSnap×スキャンノート×Evernote

ScanSnap、スキャンノート、Evernote――。いずれも紙の書類などをデジタル化するのに便利なツールだ。これらを提供する各社の担当者とそれぞれの“スーパーユーザー”である文具王・高畑正幸さんを招いて、書類のデジタル化について座談会を行った。今回は前編。

» 2012年09月03日 10時00分 公開
[PR/Business Media 誠]
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 ドキュメントスキャナ「ScanSnap」、スキャナでまとめてデジタル化できるノート「スキャンノート」、アイデアやWebクリップなど何でも保存できるクラウドサービス「Evernote」――。いずれもアナログの紙の書類などをデジタル化するのに便利なツールだ。これらを提供する各社の担当者とそれぞれの“スーパーユーザー”である文具王・高畑正幸さんを招いて、書類のデジタル化について座談会を行った。前後編に分けてお伝えしよう。

 出席者は文具王のほか、ScanSnapを開発・販売するPFUからは山口篤さん(イメージビジネスグループ販売推進部)、スキャンノートのキングジムからは清水貴仁さん(商品開発部)、Evernoteからは上野美香さん(広報・マーケティング担当ディレクター)。前編ではデジタル化にまつわる「原体験」やTipsなどの話題で盛り上がったほか、後編(9月24日公開予定)ではデジタル化の未来についても興味深い話が続いた。

左から文具王・高畑正幸さん、PFUの山口篤さん、キングジムの清水貴仁さん、Evernoteの上野美香さん

山口 PFUの山口です。主にScanSnapや業務用のドキュメントスキャナのプロモーション全般を担当しています。ScanSnapはアナログとデジタルの架け橋ができる機械であると思っています。いかに簡単にスピーディーにデジタル化できるか、そしてデジタル化したものをいかに活用できるかを目指しているスキャナなんです。

清水 キングジムの清水です。山口さんがおっしゃったようなデジタル化したデータをノートと一緒に管理できれば便利ですよね、ということで作ったのがスキャンノートです。アナログの文房具をデジタル化するまでの手間を、アナログノートの形を変えずにできないか、と考えたんです。

ScanSnap S1500(左)とスキャンノート(右手前)

上野 Evernoteの上野です。Evernoteは、メモや議事録といったテキスト、Webページのクリッピング、写真、ExcelやPDFなどのファイル、音声メモ、動画など、いろいろな形式で記憶やデータを保存してあとから検索して引き出せますが、ScanSnapやスキャンノートのような連係製品と組み合わせて、ますます便利になりますね。やっぱり人々の生活の中で使えるものと連係することがポイント。かゆいところに手が届くものと一緒になることで、Evernoteもより強力な記憶補完ツールになると思います。

文具王 こんにちは、文具王です。なぜか文房具好きが気が付いたらこんなふうになってますが、もともとどの会社のどの製品についても単なるファンなんです。例えばScanSnap。ずっと「超いいよ!」と10年ぐらい話していたら、気が付くとScanSnapのWebページに登場していたりとか……。(一同笑い)なんかEvernoteも「すごい便利!」という話をしていたら、外村(ほかむら)さん(Evernote Japan会長の外村仁氏)と引きあわせてもらったりしています。

文具王のデジタル化は1995年から――「ハードルはどんどん下がっている」

文具王

文具王 僕は昔からPCで情報管理することにしていました。現在のようにタブレットがこういう形で出てくるかどうかは分かりませんでしたが、こうやって簡単にデータを見られる時代が来るというのをずっと信じてたんですね。ScanSnapすらなかった1995年ごろ、大学に入って自分のPCを買ってから僕は必死でデータを取りためているんです。

 そのとき、スキャナを買うにあたってこだわったのは読み取りスピードでした。大手の会社からもスキャナは出ていたんですが、当時はあまり有名ではなかったA社のスキャナを買ったんです。1枚当たりの読み取りスピードが圧倒的に速かったからです。解像度は、ほかのより1段低い解像度だったんですけど、圧倒的に速かった。それ以外の高解像度なスキャナなんて、A4用紙1枚読み込むのに2分ぐらいかかってたんです。

 その後ScanSnapに移行するんですが、デジタル化するにはとにかく小まめにどんどんやっていかないとダメってことに気づきました。後からまとめてやろうと思うと、本当に面倒くさくなってやらなくなります。もう1つのポイントはそのスキャナで取り込める現実的なスピードの一番高解像度のモードを使うこと。当時は読み込み速度も遅かったし、読み取ったデータを保管するHDDの容量も少なかったんですが、HDDの容量はどんどん大きくなるに決まってるんだから、低解像度で取り込むことはあり得ませんでしたね。

 当時の書籍などには「書類のスキャンは白黒データでとる」と書いてあるんですけど「絶対にあり得ない」と思っていました。その後、iPhoneやiPadが登場したとき、高解像度でとってきた恩恵が受けられるようになるわけです。未来はこっちだって僕は信じてるんで、間違ってなかったなと思っています。

キングジム清水さんは大量の雑誌を電子化して持ち歩いているという

清水 デジタル化してる恩恵をかなり最近感じています。雑誌が好きなんですけど、ScanSnap S300を愛用していた2年ほど前に、雑誌の“自炊”にめちゃくちゃはまってたんですよ。当時、裁断機は買えなかったので、普通に雑誌を鉄のかね尺で、1ページずつ切っていました。手間は大変だったんですが、今までアナログで管理しきれなかったものが、iPadやスマートフォンに何十冊、何百冊って入っていく快感を経験してから、もう自炊にハマっちゃいました。私のiPadには大体40冊ぐらいの雑誌が入ってます。

 やっぱりiPadなどのスマートデバイスはタッチ操作なので、実際の閲覧方法がよりアナログに近いじゃないですか。そういった部分が、やっぱり、敷居を下げてるのかなと思ってますけど。アナログの良さを生かしつつ、デジタルの新しい良さも加わっているんで、サムネイルでプレビューすると1冊の雑誌をペラペラめくるより全然早いです。

山口 かっこいいな。なんか、できる人っぽい(笑)。ScanSnapが出た2001年ごろ僕は、別な会社でデジタル化に携わっていました。最初にScanSnapが出たころというのは「本当にこれでデジタル化ができるのかな」と。それまで業務用のスキャナを販売していた僕らからすると、こんなにライトなものが出てきたんだと驚きました。ボタンをポチっと押したら簡単にデジタル化できる。本当にすごいなと思いましたね。

スマートデバイスが後押し

文具王 これまでは取り込んだものを見るのに僕らはすごい苦労してたんですけど、ここ2〜3年で便利になった。清水さんがおっしゃったiPadなどのタブレットの登場というのは、すごい大きいと思うんです。iPadやMacintoshなどのRetinaディスプレイ(網膜のように高解像度なディスプレイ)になってから、デジタルでの閲覧も言うほど悪くないですし、場合によっては紙で見るのとほぼ同じ。日経電子版のiPadアプリで見ると、あの新聞紙面でも見出しから本文まで1画面で全部見られる。

Evernote上野さん

上野 私の場合、PDAの「Palm」を使い始めたことで紙の手帳を使わなくなったのが、ちょうど2000年ぐらい。できることや機能は手帳に比べて足りなかったんですけど、スケジュールの基本的な使い方はできました。当時、一番入れたかったのはレストランのデータベースです。行きたいお店と行ったお店の情報をためておきたかった。デジタル化していつでも見られるようにし、手帳をPalmに集約して持ちものが軽くなりました――ということで、紙の手帳を使わなくなりました。

 私の同世代の女性はまだEvernoteのようなクラウドサービスを使っている人は多くないので、モバイルでの使い勝手の改良はこれからますますキーポイントになってくると思います。

文具王 要は、紙の情報をデジタル化するという方法がありだよというのを、今伝え始めたばかりなんですよ。スマートフォンが3年かかってようやく普及し始めて、最初はもの好きな男子のおもちゃだったわけですけど、最近は普通の女の子も使うようになってきたじゃないですか。

 デジタル化したほうが便利だよというのを広めるのは今からだと思うんですよ。スキャンノートだって、別にこれじゃなくたってスキャンできるじゃんという話なんだけど、わざわざこうやって表紙にEvernoteとScanSnapのマークを入れている。まず「スキャンするというやり方がある」ということを言いたいだけなんですね。スキャンが普通になってきたら、もうちょっと別の提案ができるノートも出てくるんじゃないんですかねえ。

切り離すのがいいのか悪いのか――ビジネス活用

上野 デジタル化したデータの活用という意味ではこんな体験もありました。2004年ごろに勤めていた会社では、まだノートPCを会議に持っていくというのが少しはばかられる雰囲気があって、メモはノートに書いて、それを議事録にしていたんです。面倒くさいけど、手書きのメモをPCに打ち直して共有していました。その二度手間がちょっとフラストレーションになりまして……。今ならノートに書いても、スマートフォンで写真に撮ってまずEvernoteに保存、必要なときはテキストに起こして共有すればいいので、そこはワンステップ減った感じがしますね。

文具王 日本はまだデジタル化したデータに信用がないというか……。いまだに実印の世界ですからね。書いてある内容や情報が大事だったら、情報は情報として、デジタル化しても問題ないはずですよね。

 ちょっと話はずれますが、僕らが物体から得ている情報は視覚情報だけではない部分ってありますよね。手触りとか、においとか、音とか、いろんなものを得ている。本来切り離せないし、切り離さないほうが情報がリッチなんだけど、そうした情報をテキスト情報として切り出せちゃうのがスキャナのいいところもであり、悪いところでもありますね。

PFU山口さん

山口 切り離せないという意味では、赤ペンで書いたりとか、何かメモしたりとかいう情報も意外と重要です。ビジネスの資料に自分がその瞬間思ったことを書いたりするんですけど「あとからデータでもらうのでいいや」と思って捨てちゃうと「あのとき何を思ってたのかな」と思い出せない。「やばい、あのときすごいいいアイデアが思い浮かんだはずなのに……」となってしまうこともありますので。もちろんアイデアは思い出せば、Evernoteにあげるときもあるんですが……。(一同笑い)

文具王 僕はどちらかというと、スキャンしたものの大半は見返しません。見返すことも大事なんだけど、スキャンすることによってものを捨てられるのが結構大事で、スキャンしてここにとってあるんだから、もうこれは捨てたほうがいいよね、いつでも探せるから捨てちゃえるというのがデータ化の効果として結構大きいんです。

 直近のものなら手元に置いておけるから、紙でもデジタルでも直近1000枚に関しては閲覧スピードは変わらない。むしろ紙のほうが早いぐらい。ただ持ち運びを考えたら、デジタルのほうがいいですが、そこは結構アナログもデジタルもとんとんだったりするんですよ。でも直近10万枚になるとだいぶ違う。紙ならトラックで運ぶしかありませんが、データ化すればiPadにも入れられる。そうすると意味が違ってくるんです。

 ロングテールの理屈と一緒で検索さえできるようにしておけば、量がばく大になっても問題ない。10年に1回しか閲覧しないような書類でも10万枚のデータベースがあるとすると、もしかしたら毎日27枚は閲覧する計算になります。そういう何年も前の書類なんだけど、探せるようになってしかも、それがiPadとしてカバンの中に入るとなったら計り知れないメリットですよね。

上野 アナログのものを取り込むのは仕事で使う書類が多いです。付せんに書いたメモを写真に撮ってEvernoteに上げておくとか……。走り書きなんですけど、捨てるのもなんだから、パッと入れておく。スキャンしておくとあとから見たいときに簡単になるんですね。私、とっても忘れやすいんです。直近1000枚どころじゃなくて、本当にすぐ、昨日のことを忘れちゃうぐらいなんで……。(一同笑い)

――後半に続く

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提供:株式会社PFU
アイティメディア営業企画/制作:誠 Biz.ID編集部/掲載内容有効期限:2012年9月16日