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» 2012年09月04日 12時25分 UPDATE

文具書評:経理マンの定規が木製である理由――『文具上手』 (1/2)

文具好きなら、ほかの人がどんな道具をどのように使っているか気になるはずだ。そこで、デザイナーや新聞記者、医師などの12人の事例をカラフルな写真とともに180ページで紹介したのが本書『文具上手』である。

[舘神龍彦,Business Media 誠]

 およそ文房具好きを自認する人なら、ほかの人がどんな道具をどのように使っているかに大いに関心があるはずだ。

 そして、デザイナーや新聞記者、医師などの12人の事例をオールカラーの180ページで紹介したのが本書『文具上手』である。


専門的な職業の人はどんな文具をどういうふうに使っているのか

 誰でも簡単に使えるはずの文具に“テクニック”があることが意識させられたのは、この数年の文具ブームによる。ビジネス誌やモノ雑誌などの特集には、数々の達人が登場し、華麗なテクニックを次から次へと披露する。種類も数も豊富になった文具は、実はこういう活用例や応用例によって初めて使い方が分かるような側面があるのだ。

 そして『文具上手』は経理のプロ、医師、商社マン、新聞記者、TVプロデューサー、グラフィックデザイナーなど多様な職業人に取材し、彼らのテクニックを詳細に紹介したところに特徴がある。12人の事例取材に通底するポイントを一言で言えば「登場する文具が使われている必然性」だ。

 本書に登場する12人は、仕事場で使っている文具をいったいどんな必然性があって選択し、どのように使っているのか。それにじっくり迫っているのだ。

経理マンの定規が木製である理由

st_bj01.jpg 染谷氏の電卓。ケースに入れて大事に使っているという

 例えば、経理をアウトソーシングする会社に勤務する染谷氏は電卓がそうだ。

 経理の仕事に必須の道具と言えば電卓。この世界には「カシオ派」「シャープ派」という2大派閥に分かれているらしい。キー配列が違うのがその理由。高価格帯のモデルは、数字を立体成型していて長年使っていても消えにくいなど、こだわる理由があるという。

 透明なプラスチック製ではなく木製定規(ドイツ製のリラ)を使うのも理由がある。これは線を引くためではなく、数字のチェック用。数字がたくさん並んだ表をチェックするためだ。透明なタイプだと、下が透けてしまい集中力がそがれるので、木製のものにこだわっているというわけだ。

st_bj02.jpg リラの木製定規。数字がたくさん並んだ表のチェックに不可欠なアイテム

“癖を溶かす”ために使い分ける

 こだわらないことにこだわっている例も登場する。「超」整理手帳のカバーなどでも知られるブランド「ポスタルコ」のデザイナー、マイク・エーブルンソン氏のペンとのつきあい方がそれだ。

 道具は慣れ親しむと簡単に扱えるようになる。そして氏によれば、歯磨きや靴ひもを結ぶようなルーティンな動作として定着した場合、毎回同じ筋道で考え、新しいモノが生まれない可能性があるという。

 そこで氏は、例えば気に入った4種類の筆記具と4種類の紙を用意することで16種類の書き味(=発想の環境)を用意し、それらをシャフルするように使うことで常に新しい発想が出てくるようにしているという。それを“癖を溶かす”と言っているのだ。


st_bj03.jpgst_bj04.jpg ポスタルコのマイク氏のアトリエ。右はマイク氏の筆記具。“癖を溶かす”ために複数種類のペンを併用している

 文具を上手く応用して作り上げた仕事のワークフローも紹介している。82ページ以降に登場する商社勤務の日野幹氏の例だ。ロディアの「No.11」とラミーの「アルミニ」というペンの組み合わせで、GTD式にタスクを管理するやり方である。タスクをNo.11に書いて、4つに仕切った専用ボックスに振り分けて処理するそうだ。このワークフローには、メモとカード以外の脇役も登場し、それぞれ重要な役目を果たしている。マインドマップを書くために高級ノートも使っている。


st_bj05.jpgst_bj06.jpg 左はロディアNo.11を使ったGTD式のワークフロー。4つに仕切られた箱がポイントだ。右は新聞記者の「メモカスタマイズ術」。ポケットにぴったり入るように下部をカットしたという

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