町田さんは愚痴を聞かせる相手に、自分のことを理解し味方になってほしいと考えています。いきなり別の意見をアドバイスしたり、反論によって否定すると不快感を示し、相手を同意させようとして不平はむしろ増幅していきます。
そこで「どうやったらうまくいくんでしょう?」と投げかけて「状況を改善するにはどうしたいいか」と考える方向へと導いてみましょう。
ドイツの心理学者ウエストハイマーは、話がまとまらない時はそれまでの視点を捨てて新しい視点で考えると新しい地平が開けることが多い、と言っています。
町田さんの視野を広げるこの発言は、味方を欲しがる心も満足させるため、愚痴を止めさせることができるのです。
例
町田 だろ? あの人言い方がきついよな!? 今日だって俺もいろいろ考えて最善を尽くしてるってのに、全然分かってくんないんだよ。腹が立つよなあ。
私 そうですよね。どうしたら相川さんのキツい言い方って変わるんでしょうかね?
町田 あの人は無理でしょう。
私 考える価値はありますって! 相川さんが変われば仕事も楽しくなりそうですし!
町田 うーん。そうだなあ。どうやったらいいんだろうなあ。
私 毎回、自分の考えとか思惑を伝えるのは大切ですよね。
町田さんはキツい口調で怒る相川さんに強いストレスを感じていました。そこでまずは「どうしたら相川さんのキツい言い方は変わるのか?」という議題を投げかけています。「相川さんの物言いは仕方がない」と思っていた町田さんにとって、これは盲点でもあり非常に興味深い議題です。
それでも「あの人は無理だ」とあきらめて考えようとしない町田さんに対して「考える価値はある」と言ったあと、「仕事だいぶ楽しくなりそうですよ!」と改善策が見つかった後のメリットを訴え、再度考えるよう仕向けています。
改善策を考え始めたら、1つのアイデアとして「毎回自分の考えや思惑を話すことが大切ですよね」と町田さんへアドバイスしているのもポイントです。愚痴に対してすぐにアドバイスめいたことを言うと気分を損ねる町田さんも、改善のための1つのアイデアとして意見をすればすんなり受け入れてくれるでしょう。
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