愚痴を言う人へのいなし方とキレ方出世するキレ方(3/3 ページ)

» 2012年11月05日 09時00分 公開
[楠元博丈,Business Media 誠]
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キレ方:超極論を展開する

 付き合いきれないほど愚痴を言い続ける町田さんは、不満を吐き出すとかえって怒りが高まってしまい、スッキリできないタイプの人です。相談しているようにみえても、基本的に誰かからアドバイスを受けたいとは思っていないので、エンドレスに続く愚痴を止めるのは困難を極めます。

 そこで「その発想はなかったわ」という超極端な答えを提案してみましょう。その展開が馬鹿げていたり、ハチャメチャであったりして笑いが生まれれば、町田さんをスッキリさせることができ、こちらも楽しくなってきます。また、スケールの大きな飛躍は、小さいことで愚痴っている町田さんを反省させるきっかけになるでしょう。

町田 だろ? あの人言い方がきついよな!? 今日だって俺もいろいろ考えて最善を尽くしてるってのに、全然分かってくんないんだよ。腹が立つよなあ。

 そうですよね。あ、じゃあどうにかして相川さんの弱みを握るってどうですか?

町田 なに、それ。

 相川さんの弱みを握って「俺は全部知ってるんだぞ」みたいに言えば相川さんもそんなキツく言ってこなさそうじゃないですか?

町田 はは。確かに。

 つけるんです。相川さんを尾行しまくってやるんですよ! きっとボロ出しますよ! それか美女! 美女にアプローチかけさせて実はドッキリみたいな!

 相川さんに対する不満がたまりまくっている町田さんに対して、相川さんをこらしめることができる超極論を展開しています。「相川さんの弱みを握るってどうですか?」と提案した後は「尾行しまくってやるんですよ!」「美女にアプローチさせるドッキリを仕掛けましょう!」と言って、勝手に非現実的な妄想をエスカレートさせています。

 内容が相川さんをこらしめることに特化しているので、話を聞きながら町田さんも愉快になることでしょう。

実用例(OLの町田先輩との会話)

町田 毎日コピーしてお茶くんで、ヅラ上司のつまんない話に愛想笑いして。全然楽しくないし、なにやってんだろうなあ。

あなた 本当ですねー。もう婚活しに拠点をイタリアに移すってどうですか!? イタリア人はよく声掛けてくれるって言いますし!

町田 ははは。いやいやいや!

あなた そうだ! イタリアで大物デザイナーひっかけたらまた会社に帰ってきて下さいよ! んでヅラ上司のヅラ、パーッと取って下さい!

町田 あははは! いいね、それ!

あなた あ! 取るだけじゃあれなんで、もう燃やしましょう! ヅラ燃やしちゃいましょ! あ! ってかもう『カツラ燃やし祭り』しましょうよ! 社員全員でヅラ上司に飛びかかってヅラ奪い取って燃やして、上司は川に流しましょ! これ毎年の恒例行事にしちゃって!

 ここでは仕事にうんざりしている町田さんに対して、婚活という道を提示していますが、単に「婚活したらどうですか?」という提案では極論としてまだ弱さがあります。そこで「拠点をイタリアにする」という非常に高いハードルを設けて婚活するという提案を一気に極論へと押し上げています。

 例のように、少しでも町田さんが面白がれば、一気にその妄想を飛躍させてしまいましょう。愚痴話は打ち切りとなり、楽しい笑いの時間がおとずれます。

出世するキレ方』(楠元博丈著)

出世するキレ方

 ビジネス現場で使える「スマートで賢いキレ方」(怒り方)を実践会話例を交えて紹介したビジネスコミュニケーション実用書。『夢をかなえるゾウ』の著者、水野敬也氏による初の編集本。

 人生で一度はキレたいと思ったことが誰にでもあるはずです。ただキレるという行為はさまざまな意味でリスクを伴い、一歩間違えれば致命的になりかねません。本書では代表的な『嫌な人』を21のタイプに分類し、彼らに対して、自分の立場を危うくするどころか周りを味方につけ、それでいながら自分のストレスも発散できる、そんな「スマートで賢いキレ方」を紹介しています。さらに、『キレる』ことにそれでも抵抗を感じる人が使えるように、『キレ方』と同時に『いなし方』も紹介してあります。


楠元博丈(くすもと・ひろたけ)

鹿児島県生まれ。大学卒業後、バラエティ番組の構成を手がける構成作家、舞台の脚本を手がける脚本家として活動。Twitter:@September0727


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