20代は激情のままに行動して失敗しても若気の至りで済まされたりするが、30代になるとそうはいかない。うつ病、家庭崩壊、破産など、自分の悪いパターンが形となりすべてを破壊してしまう可能性もある。自分の中の負のエネルギーに気づいたとき、どう対処すればいいのだろうか?
この連載は書籍『30代にしておきたい17のこと』(だいわ文庫)から抜粋、再編集したものです。
30代は、その他の年代に比べて人生がダイナミックに変化する時期です。結婚や転職、収入の格差など、周囲とも差が出てきて、昔からの友人でも会話がかみ合わなくなることもしばしばです。また社会人としてのキャリアが10年以上経過し、落ち着いて自分を見つめられる時期でもあります。そのため自分の実力を自覚してがくぜんとしたり、逆に新たな可能性に心を躍らせることもあるでしょう。30代は、希望と絶望のはざまの10年とも言えるのです。
この10年をどう乗り切るのか、それによって今後の人生が左右されるとも言えます。その貴重な10年にぜひしておくべき17のことを、ベストセラー作家の本田健が、自身の体験も交えて紹介します。
本田健(ほんだ・けん)
神戸生まれ。経営コンサルティング会社、ベンチャーキャピタル会社など、複数の会社を経営する「お金の専門家」。独自の経営アドバイスで、今までに多くのベンチャービジネスの成功者を育ててきた。
『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)をはじめとする著書はすべてベストセラーで、これまでに70作品以上を出版し、累計部数は500万部を突破。現在は、執筆活動、講演会やセミナー、ポッドキャスト、各業界のトップランナーとの対談した内容をまとめたオーディオ教材など、さまざまなメディアから、「人生を幸せに豊かに生きる知恵」を伝えている。
本田健の公式Webサイト「幸せな小金持ちになるホームページ」、各業界のトップランナーと対談「アイウエオーディオ倶楽部」
20代はどんなにハチャメチャなことをしても、基本的には、若気の至りで済まされます。でも、30代ではそれでは許されないこともあります。自分でもびっくりするようなことを引き起こしてしまうこともあるのです。
ふだんまじめな生活をしている人が急にギャンブルにはまったり、おとなしい専業主婦だった人が、浮気相手とかけ落ちしてまわりを驚かせることがあります。世間的な常識に従って生活していたのに、何かのきっかけで、いままでの生活をリセットするかのように変えてしまう人がいます。
そこまでいかなくても、自分の中のダークなエネルギーに気づいて戸惑うのも、30代です。
例えば両親の介護が始まって、寝られない生活が続いたことがきっかけで、両親に対して早く死んでほしいと密かに願ったことに落ち込む人がいます。子どもが生まれて育児ノイローゼとなり、幼児虐待をしてしまいそうな暴力性が自分の中にあるのに気づいてがくぜんとする人もいます。
また、パートナーに対する怒りや自分でも驚いてしまうような異常な嫉妬など、どうしようもない感情に振り回されることも、30代では多く起きます。
20代は激情のままに行動していろいろな大失敗をするものですが、それらはたいていリカバーできます。しかし、30代に出てくるダークサイドは、気をつけないとすべてを破壊してしまう可能性があります。
気がついたら、家庭を捨てて、仕事も続けられなくなった、経済的に破綻してしまったなど、自分の悪いパターン──20代から引きずっている悪いパターンが一気に膿のようにどっと出るのが30代なのです。
自分の心のケアをしていなかった場合には、「自分らしく生きる」ことがうまくいかないと、うつ病などに悩まされることがあるかもしれません。
飲みすぎたり食べすぎたりしても、20代のうちはなんとかなったとしても、30代では確実に身体に出ます。20代に不摂生している人は、必ず30代で一度は身体を壊すようにできているのです。
また、そこまでの破滅的な行動に出なかったとしても、他人に対してとても冷たい自分が出てきたり、パートナーに対してひどいことをいう部分が出てきたりすることもあります。
部下を怒鳴り散らしてしまうなど、20代のときには「あんな上司になりたくない」と思っていたようなことを、知らずしらずに部下にしている自分に気づく。自分でもびっくりするようなダークサイドが噴出するのが30代です。
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