どうする? サラリーマンの節税「大増税」時代に備えて(2/4 ページ)

» 2012年11月29日 15時10分 公開

扶養控除の申告書を記入してみよう

 では実際に「平成25年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を記入してみよう。この申告書は来年(平成25年)の所得税を計算するための申告書だ。ここに記載された内容に沿って控除が行われ、毎月の給料から所得税が天引きされる仕組みとなっている。ただし来年子供が生まれたり、離婚したりという変化があった場合は12月の給料で所得税の過不足が調整(=年末調整)される。

 上段の名前等を書く欄の下に「あなたに控除対象配偶者や扶養親族がなく、かつ、あなた自身が(略)以下の各欄に記入する必要はありません」とあるように独身で親の面倒を見ていない読者は会社名、名前、住所などを書いたら完成だ。

 奥さん(配偶者)や子供(扶養親族)がいる人は、ガッツリ控除額を積み上げて大幅な節税が期待できる。まさに年末調整の天王山となるので、よく理解して漏れのないように記入しよう。

 注意点は子ども手当や児童手当は4月から3月の学年の切れ目を基準としているので中学校を卒業する3月までを対象としているが、扶養控除は1月から12月を基準としているため、早生まれ(1月〜3月生まれ)の子供は時間的なズレが生じる。

 Bの欄に「控除対象扶養親族(16歳以上)(平10.1.1以前生)」とあるように、来年、平成25年の年末で16歳以上の子供がいると扶養控除の対象となる。現在中学3年生、来年高校1年生になる子供のうち、平成9年(1997年)4月2日から平成10年(1998年)1月1日に生まれた子供は扶養控除の対象、平成10年1月2日から4月1日に生まれた子供は、高校生になり児童手当は支給されず、さらに扶養控除も対象外となる。同学年の4分の1の人が損をする仕組みだが長年改善されないままだし、大手メディアは興味がないのかニュースになることもない。

 B欄と連動する最下段の住民税に関する事項も同様だ。この欄の記載対象となる子供は平成10年1月2日以降の生まれた子供なので現在中学3年生、来年高校1年生になる子供のうち、平成10年1月2日から4月1日に生まれた子供は中学生以下と同様この欄に記入する。

 特定扶養親族の欄も同じような注意が必要だ。特定扶養親族の目的は大学生の子供がいると教育費などが掛かるため控除額を増やし減税することだが、対象となるのは平成3(1991年)年1月2日生まれから平成7年(1995年)1月1日生まれ。平成7年1月2日から4月1日に生まれた現在高校3年生の子供は4月から大学生になっても誕生日の関係で特定扶養親族の対象(=減税)にはならない。

 逆に平成3年1月2日から4月1日に生まれた現在大学4年、来春卒業の子供は年齢の条件は満たしているが、無事就職が決まり4月から社会人となり、それなりの収入があると特定扶養親族以前に扶養控除の対象でなくなるため、本来4年受けられる控除の増額の恩恵は3年間しか受けられない。

 特定扶養親族の目的は大学生を持つ親の支援だが、実際には子供が大学生である必要はない。所得38万円(給与収入103万円)以下で年齢の条件を満たしていれば対象となるので、高校を卒業して無職の息子も、就職浪人となった早生まれの娘も控除増額の対象だ。

サラリーマンの石原進次郎さんの場合は?

 実際の記入例を見てみよう。石原進次郎さんはしがないサラリーマン。専業主婦の奥さんと大学生でサークルの幹事長を務める長男の信輝君、天体望遠鏡が大好きな次男の良住君、父親の友次郎さんと同居している。大学生の信輝君はアルバイトで毎月6万円くらいの収入があり年収は72万円、次男の良住君は来年(平成25年)高校生となるが早生まれのため来年末にはまだ15歳だ。

 奥さんは専業主婦のため配偶者控除の対象となる。仮にパート務めをしていても年収が103万円以下であれば配偶者控除の対象だ。父の友次郎さんは月額12万円(年額144万円)の公的年金をもらっているが、65歳以上なので控除額が120万円となり144万円−120万円=24万円の所得、38万円以下なので扶養控除の対象となる。

 大学生の信輝君も年間の収入が72万円となるが、65万円の控除があるので72万円−65万円=7万円が所得となり、38万円以下なので扶養控除の対象となる。良住君は2月生まれのため来年は15歳となり扶養控除の対象外。後2ヶ月早く生まれていればB欄に記入し扶養控除の対象となり38万円の控除を受けることができた。

 石原進次郎さんの控除額を確認してみよう。

控除 所得税 住民税
配偶者控除(奥さん) 38万円 33万円
扶養控除(父) 58万円 45万円
扶養控除(長男) 63万円 45万円
合計 159万円 123万円

 住民税の税率は10%なので123万円の控除があれば、税額は12万3000円減ることになる。所得税は課税所得が195万円の人でも税率5%で7万9500円、課税所得が500万円の人なら税率は20%となり31万8000円税額が減ることになる。住民税との合計はそれぞれ20万2500円、44万1000円とそれなりに納税額は減る。

インフレ時代の確定申告

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