人はピンチに陥ったときほど、無意識にネガティブな質問を自分に投げています。それはまるで呪文のように、自分の人生をどんどん悪い方向へ導いてしまいます。人生でもっとも大切なスキルの1つは、質問力です。いい質問を日常的にすることで、いい未来を築くことができるのです。
この連載は書籍『20代にしておきたい17のこと』(だいわ文庫)から抜粋、再編集したものです。
20代はいろいろと迷い、悩んでいるうちに、一瞬にして過ぎていきます。若さからくる希望にあふれ、ワクワクしながら自分の夢に向かうことができます。その一方で、感情という波に振り回されて落ち込んだり、自分を嫌いになったりして、時には絶望を感じることもあることでしょう。たとえどんな状態でも、それらはすべて人生の栄養になっていきます。20代という瞬間を、精いっぱい楽しんで過ごしてください。
ベストセラー作家の本田健が「20代にやっておけばよかった」と思うことを、30代より上のあらゆる世代の人にインタビュー。この10年でしておくべき17のことを、自身の体験も交えながら紹介します。
本田健(ほんだ・けん)
神戸生まれ。経営コンサルティング会社、ベンチャーキャピタル会社など、複数の会社を経営する「お金の専門家」。独自の経営アドバイスで、今までに多くのベンチャービジネスの成功者を育ててきた。
『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)をはじめとする著書はすべてベストセラーで、これまでに70作品以上を出版し、累計部数は500万部を突破。現在は、執筆活動、講演会やセミナー、ポッドキャスト、各業界のトップランナーとの対談した内容をまとめたオーディオ教材など、さまざまなメディアから、「人生を幸せに豊かに生きる知恵」を伝えている。
本田健の公式Webサイト「幸せな小金持ちになるホームページ」、各業界のトップランナーと対談「アイウエオーディオ倶楽部」
私は、人生でもっとも大切なスキルの1つに、質問力というのがあると思っています。なぜなら、質問をする力がそのまま人生をつくるからです。私たちは、意識しないうちに、自分に質問を投げかけています。
例えば、恋愛がうまくいかないとき「ああ、なんで私には恋人ができないんだろう?」と口にしてしまいます。
すると聞かれてもいないのに、あなたの潜在意識は、これを大切な質問だと認識して、これも無意識のうちに答えを出そうとします。
そして、その結果「それは、自分に魅力がないから」「収入がないから」「才能がないから」など、実はちょっと自分でも気にしているマイナス点が、どっと出てきます。この頃までには、気分が悪くなったり、ますます落ち込んだりという症状が出ているはずです。
自分が無意識に出した答えをプリントアウトして見たわけではないのに、そのインパクトは十分に感じていて、ど〜んと落ち込んでいくのです。外から冷静にこの様子を見ていれば、自分でお題を出して、ボケて突っ込んで落ち込む、ひとり漫才のようです。
しかし私たちの多くが、小さいころから実はこのような癖を持っています。自分にネガティブな質問を繰り出して、自分を精神的に打ちのめすのです。
「なぜ、私は勉強ができないんだろう?」
「なぜ、才能がないんだろう?」
「どうして、運動できないんだろう?」
「どうして、英語の発音が悪いんだろう?」
など、その質問をする時点で、もう「自分はできない」「才能がない」ということが既成事実になってしまうのです。
ピンチに陥ったとき、普通の人は「もうダメだ。なんでこんなことになったんだろう?」と嘆きながら、自分に聞いてしまいます。すると、ピンチを引き寄せた理由ばかりが意識に上ります。
幸せな成功者は、自分に実によく考えられた質問をします。「このピンチから学べることは?」「このピンチから脱出する方法は?」など、本人がワクワクして行動できる質問をするのです。
落ち込んだ人は、クリエイティブな解決策を思いつくことができません。でも心が自由な人は、いくらでもアイデアを出せるのです。
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