では、会社員だったらどうだろうか? もちろん子どもが増える分だけさらに頑張って働き、収入も増やしたいところだろう。しかし私のケースのように、不安がられたりはしないはずだ。なぜならよほどの大家族でもない限り、会社から得られる収入で養っていけるからである。
別の例で考えてみよう。私が今から新しい事業をスタートしようとすれば、検討に検討を重ね、それこそ慎重に事を運ぶことになる。事業の立ち上げや運営には多くのパワーと時間を費やすため、その分だけ既存事業に避けるエネルギーが減ってしまうからだ。
それでも事業の成功を目指して進めるわけだが、100%の成功などありえない。ここにもやはり、前進をためらわすリスクがある。
会社内で新しい事業の立ち上げをするなら、失敗しても自分自身に大きな影響は出ない。多少減給されることはあるかもしれないが、それで生活ができなくなることはないだろう。
あるいは本業とは別に、空いた時間で副業にチャレンジできる。私は会社員時代に副業をしていたが、例え副業が上手くいかなくても、会社から給料が出ているので問題はなかった。安心して、自分のやりたいことにチャレンジできたのである。
毎日会社と家の往復で、休日は寝て過ごすサラリーマンを見ていると、私はこう思ってしまうのだ。
「なんで、もっといろんなことにチャレンジしないのだろうか」
現状に大満足しているのなら良いが、何かしら不満や不安を持っているのなら、動いてみれば良い。会社が守ってくれているのだから、人道から外れたことでもしない限りは、そこに生じるリスクなんて小さなものだ。
私も会社員時代の前半は、まさに会社と家の往復で終わっていた。休日と言っても、ちょっと買い物に行く程度だ。しかしこうしてフリーランスになってみると、なんてもったいない時間の使い方をしていたのだろうと反省してしまう。
会社員とフリーランス。どちらが良いということはない。自分に合った働き方があって、私の場合はほぼ間違いなくフリーランスが合っている。フリーランスにも素晴らしいメリットがあるが、会社員にも恵まれた環境があるのだ。
どちらか一方しか経験していないと、もう一方ばかりが良く見えてしまうのかもしれない。しかし少なくとも私は、会社員とフリーランスの両方を経験した身として、やはり会社員は恵まれていると思うのである。
現状に不満を持つ前に、まず今自分が置かれている環境を見てもらいたい。それも悪い面ではなく、良い面を見てもらいたいのである。会社員であっても、いや、むしろ会社員だからこそやれることがある。今の環境に感謝しながら、自分のために新たな挑戦をしてみてはいかがだろうか。
特に最近は、会社以外の「場」がとても増えている。シェアオフィスやコワーキングスペースなどは、都市部を中心に驚くほど増えた。そういった場を上手く活用すれば、あなたに考えもしないような可能性が生まれるかもしれない。
しかしそういった場があることを知っていても、「自分にも使えるの?」「どんな場所なの?」と一線を引いてしまう人も多いことと思う。そこで次回は、実際にシェアオフィスやコワーキングスペースがどんな場なのかを、取材に基づいて紹介したい。
会社員が恵まれているとすれば、その環境を良い意味で利用しない手はないだろう。チャレンジは、誰にだってできるのだ。
1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。
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