身に付けたスキルや知識を、クラウドソーシングで誰かの役に立ててみるRe:Work(1/2 ページ)

仕事を探す方法として今注目を集めている「クラウドソーシング」。2008年から「Lancers」を運営するランサーズに、今後“働き方”がどのように変化していくのか、そのヒントを聞いてきた。

» 2013年01月15日 09時40分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

連載「Re:Work」とは

 今、働き方を見直す動きが増えています。新しい考え方やサービス、プロダクト。こうしたものを活用して働き方を変える人がいる一方で、現実にはそう簡単にいかず苦悩をガマンしている人も多いはず。「練り直す」「再生する」「再加工する」という意味の「rework」が、この連載の由来です。すべてを変えることは難しいかもしれませんが、まずは少しだけでも「Re:Work」してみませんか?


 前回は、仕事を探す方法として今注目を集めている「クラウドソーシング」に焦点を当ててみた。

 クラウドソーシングとは、不特定多数のワーカーに対して業務を委託することを表しており、群衆を示す「Crowd」と業務委託を指すアウトソーシング(Out Soucing)の「Sourcing」から成る言葉だ。Web上で全て完結するものから、人づてに業務を委託するものなど、さまざまなタイプがある。

 近年では中でも、Webを中心にクラウドソーシングのサービスを展開している企業が多い。ではそのサービスを運営する企業は、どのような思いを抱いているのだろうか。そこには、今後“働き方”がどのように変化していくのか、そのヒントがあるように思えてならない。

 Lancersを運営するランサーズへ伺い、代表取締役社長の秋好陽介さんと、ビジネス開発部部長の山口豪志さん話を聞いてきた。

クラウドソーシング「Lancers」の抱く思い

――なぜ、Lancersを立ち上げたんですか?

ランサーズ代表取締役社長の秋好陽介さん

秋好さん 大学を卒業後、私はインターネット関連の企業に就職しました。そこではディレクター的なポジションで、フリーランスの方や企業に業務を発注する側に立っていたんです。仕事をしながら、「フリーランスには、優秀な人が多いんだな」と感じていました。

 実は私も、学生時代にフリーでWebサイトの制作などを行っていたんです。しかしその経験を振り返ってみても、フリーランスではどうすれば大企業から仕事を受けられるのか分からない。このことが、非常にもったいないと感じました。

ランサーズ( http://www.lancers.co.jp/

2008年4月設立。クラウドソーシングサイト「Lancers」を運営している。

  • 代表取締役社長 秋好 陽介(Akiyoshi Yosuke)
  • ビジネス開発部 部長 山口 豪志(Yamaguchi Goushi)

 そこで、2人をつなぐことのできるプラットフォームを作ろうと決めました。フリーランスだったころは仕事のほとんどをメールでやり取りしていましたので、インターネットがあれば実現できると思ったんです。これまでも仕事のマッチングサイトはありましたが、仕事の完了までサイト内で行えるものではありませんでした。そこでLancersは、サイト内で全てを完結させられるサービスを目指して立ち上がったんです。

自由に働ける場を求めて鎌倉へ

――なぜオフィスを鎌倉に構えたんですか?

秋好さん もともとは、川崎にオフィスを構えていました。少しずつLancersの利用者も増えてきた段階で、実は渋谷への移転も考えたんですよ。でも、自由に働くフリーランスの人をサポートする私たちが、渋谷で働くっていうのはちょっとおかしいですよね。

山口さん どうせなら、私たちも好きな場所で働こう! っていう話になったんです。自分たちが時間や場所に捕らわれない働き方を実現してこそ、もっと多くの人たちが自由に働ける社会が目指せると思うんです。

取材はあいにくランチ時に当たってしまったが、オフィスには笑顔が溢れていた

本当にインターネットで仕事ができる状態を作りたい

――Lancersは、今後何を目指していくんですか?

秋好さん 最終的には、Lancersを利用しているフリーランスの人全員が、Lancersだけで生活できるレベルになることがゴールだと思っています。そのためには、まずゼロの状態に新しく機会を生み出す必要がありました。これを私たちはステップ1と位置付けて、設立から3年間はとにかくこの機会作りに取り組んできました。

 そして次のステップ2は、発注者の皆さんに、フリーランスの人が生活できるような仕事を発注してもらうことが重要と考えています。そうなってこそ、本当に「インターネットで仕事ができる」状態といえるんだと思うんですよ。

ランサーズでビジネス開発部部長を務める山口豪志さん

山口さん 現在フリーランスで活躍する人はもちろんですが、今会社員などで働いている人も含め、より多くの人々にLancers を利用してもらいたいと思っています。私たちが目指すのは、働き方を変えることではなく、働き方を「生み出す」ことなんですよ。

 そのために、現在も新しい取り組みを企画しているところです。ランサーの皆さんが適切に自分たちの持つスキルをアピールし、生かせるように。そして発注者も、より適したフリーランスの人とつながりが持てるように。

 例えば独自のスキルテストよって、Lancrs側がその人のスキルを保証するという認定ランサー制度の導入も予定しています。

秋好さん いわば、Lancersはタレント事務所みたいな存在なんですよ。Lancersが、「こういう人がいますよ」とサイトを通じて伝える。あるいは「こういう人と仕事をしたい」という思いを持った人がLancersを訪れて、企業と人とがつながるんです。

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