「明日、倒産します」と言われたら?Re:Work !(2/4 ページ)

» 2013年02月13日 11時25分 公開
[三河賢文Business Media 誠]

「明日、倒産します」と言われたら?

 もし明日会社に行って、朝礼で社長からこう言われたらどうするだろうか?

 「この会社は、もう駄目です。来月をもって皆さんにも辞めて頂かなければいけません」

 そんなばかなと思うかしれないが、会社組織というのはそれがあり得るものだ。仕事がある、あるいは収入を得られることが当たり前ではない。浸水した船に乗り続けられないように、会社が傾いてしまえば何を言ったって出て行くしかないこともある。

 どうするか? と質問したが、どうにかしなければいけない状態と言っても良い。転職するとしても、今は求職者が求人より多い時代。すぐに仕事が見つかる保証などない。小舟一隻で、オールもコンパスもなく海に飛び込んだようなものなのだ。

 残念ながら、そういった事態は無情にも突然訪れる。「自分は大丈夫」なんて思っていても、誰にだって可能性はあるのが事実なのだ。会社から得られる多くの恩恵。それが得られなくなったら、あなたは生き抜く自信がどれほどあるだろう。

東日本大震災に見た「働ける」ことの幸せ

 東日本大震災は、東北出身の私にとって衝撃的な出来事だった。現地にいたわけではないので、住民の人々がどれほどの思いをした、いやしているのかなど知る由もない。いくら伝え聞いたところで、私の想像など超える事態なのだろう。

 震災直後、私は自分にできることが何かと考えた。ある程度被害の少ない地域にはなってしまうがPCの使える環境があると知り、人づてで現地のラジオ番組にCMを出した。その内容は私の経営するナレッジ・リンクスで、被災地の人々に仕事と収入を得てもらおうというものだった。

 ごく一部の地域だけに絞られたラジオ番組。何人が聞いているのかすら分からず、正直に言って誰にも届いていないのでは……とさえ考えていた。しかし実際には、ラジオを聞いた人々から多数の問合せをもらった。残念ながら環境面ですぐに力になれない人もいたが、何人かは現在もパートナーとしてお付き合いさせてもらっている。

 「何でもいいから、仕事がほしい」

 「このままでは家族が養えない」

 「会社など行ける状況ではなく、いつ再開するかも分からない」

 あまりにも生々しくなってしまうので簡単に書いたが、問合せをくれる人々は口々にそんな状況を教えてくれた。中には、電話口で涙する人もいた。天災という防ぐことのできない事態に、今もなお被災地の人々は苦しみ、しかし懸命に生きている。

 私は東京にいたが、東京でも少なからず影響は出た。我先にと物資を買いに急ぐ人々が相次ぎ、第2子のオムツを求めて10件ものドラッグストアやスーパーを探し回ったのは今でも覚えている。仕事もまた、一部企業からはパタりと依頼が途絶えた。

 会社員の中にも、しばらく自宅勤務などになった人はいただろう。そんなとき、「一体どうすれば?」とアタフタしてしまった人も多いはずだ。企業によっては、震災の後に倒産したというケースも少なくない。

 生きている限り、良くも悪くも私たちにはさまざまな可能性が巡っている。「働く」という視点で見たときに、その環境、機会が突然失われることが実は身近なことなのだと知って頂きたい。

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