GmailやYouTubeをはじめ、Dropbox、Evernote、Handbookなど、端末に依存しないアプリが登場している。これらのアプリはデスクトップPCからも当然利用できるが、どちらかというとモバイルの、しかも複数の端末間の連携において威力を発揮する。
本連載は2012年11月に発売した『モバイルクラウド』(中経出版刊)から一部抜粋しています。
爆発的に増える巨大なデータ量(ビッグデータ)の先には「モバイルクラウド」という新たなソリューショントレンドが生まれつつあります。しかしモバイルクラウドの本質は、「ノマド」「ソーシャル」「スマートデバイス」などとともに語られてきた「ワークスタイルのシフト」にあります。本書はモバイルクラウドが私達の暮らしに与えるインパクトを語る一冊です。
iCloudの登場は、自分が気に入った使いやすいアプリケーションをローカルにダウンロードして使うだけではなく、クラウドと連携して使う、しかもいくつも持っているモバイル端末から、常に同じアプリケーション、同じ情報ソースにアクセスできる環境にしたいと望むユーザーの声が背景にある。
端末に依存しないアプリケーションに着目すると、これができるようなGmailやYouTubeはもちろんのこと、Dropbox、Evernote、Handbook、SugerSyncといったストレージ系のサービスが登場してきた。
これらのアプリケーションはデスクトップPCからも当然利用できるが、どちらかというとモバイルの、しかも複数の端末間の連携において威力を発揮するアプリケーションといえる。
例えばEvernoteに着目してみよう。Androidであろうが、iOSであろうが、OSの違いを超えて、情報ソースとなるWebからボタン1つでウェブページをそのままクリッピング、ファイリングできる。
もちろん、どの端末からもクリッピングした結果を検索してアクセスできる。自分の気に入ったWebページが、まるでスクラップブックのようにEvernoteのサーバ上のストレージに保管されており、ローカル上のデータベースと常に連携している状態になっているのだ。
さらにEvernoteが便利なのは、Webからのクリッピングだけでなく、通常のアイデアメモや議事録、写真やイメージなど、何でも気軽に記憶(記入したり、貼り付けたり)できるので、もはやメモ帳を持ち歩く必要すらなくなってしまうことである。
同じようなアプリケーションの「Handbook」も、必要なコンテンツを保存してモバイル端末で持ち運ぶことができる分かりやすい操作環境を提供している。タブレットやスマートフォンで読みやすいように開発されているので、コンテンツを効率的かつ効果的に配信、管理できるモバイルクラウドの代表的なアプリケーションになっている。
Handbookは数千人、数万人といった大規模な企業への導入の事例もたくさん保有している。これはコンシューマに使い勝手の良いアプリケーションが企業でも着実に認められ始めた典型的な成功例である。
松下電工(現・パナソニック電工)にて通信機器の開発・商品企画に携わり、朝日Arthur Andersen(現・PwC)に転職、5年半さまざまな企業へのコンサルティングサービスを提供。現在はデロイトトーマツコンサルティングに移籍し、TMT(Technology Media Telecom)インダストリユニットに所属している。
通信、メディア、ハイテク業界を中心に、商品企画やマーケティング戦略、新規事業戦略、バリューチェーン再編などのプロジェクトを多数手掛けている。
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