風をデザインするコアテクノロジーを持つダイソンと、ロボット工学をコアテクノロジーとするアイロボットが、掃除機という、何十年も続いた成熟産業でイノベーションを起こしていることは、大変興味深いですね。
そして、このイノベーションに主要プレイアーであるはずの家電メーカーが加わっていないのはなぜでしょうか? ここに、本エピソードのポイントがあります。
1つは、固定観念です。固定観念や常識が邪魔をすると、扇風機の羽根や掃除機の紙パックを排除したい、といった顧客の潜在的なニーズ、ダイソン氏のいう「怒り」を見落としてしまいます。家電メーカーのように普段から製品に近いポジションにいるからこそ、近視眼的になり、根本的なニーズが見えづらくなっているのかもしれません。素人目線の素朴な不満や怒りを再度、見直すことが重要でしょう。
もう1つは、常識破りのソリューションは異分野にヒントがある、ということです。ダイソンは、気流をデザインするテクノロジー、アイロボットはロボットや人工知能のテクノロジーのエキスパートです。ソリューションは家電向けであっても、利用するテクノロジーは従来のものとは異なる分野での技術こそがイノベーションを生み出します。
なお本連載の基となった『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)では、5Aサイクルの具体例として、グーグルのほか、ダイソン、アマゾンなど今をときめくイノベーティブな企業群のエピソードを18のケースストーリーで紹介しています。
本連載は2012年12月19日に発売した『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)から一部抜粋しています。
本書は、イノベーションを起こして、ビジネスで勝ち残るための「思考法則」についての解説書です。これからの働き方は、大きく変わります。今まで通りに目の前にある仕事を頑張って働くのではなく、新しいイノベーションを起こしてソリュ―ション(問題解決)することが不可欠になります。本書はあなたの仕事にイノベーションを起こすために、トップ1%のできるビジネスマンだけが実践している「思考の法則」を著者、永田豊志氏が見つけ、分かりやすくまとめたものです。
「営業」「企画」「経理」「総務」「財務」「マーケティング」――など、あなたが何を専門に従事しているかはまったく関係ありません。すべてのビジネスパーソンに必要な「思考」だからです。ぜひ、本書を読んで、変化の激しい時代に、あなたがたくましく生き残れるよう役立ててください。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。
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