きっと次期モデルでは、シャープのコアコンピタンスを存分に発揮したスタイルで登場してくるはずだ。シャープのコアコンピタンスは、液晶に強いところだ。それは、高精細なパネルとかスタイラスに対する反応速度だけではない。
液晶とスタイラスを組み合わせて、スケジュールや情報を管理するノウハウでもあるはず。そう、勘の良い読者ならもうお気付きの通り、かつての同社のヒット製品「Zaurus(ザウルス)」シリーズのノウハウこそ、今投入されるべきものだろう。上記に指摘した点はその一例だ。
さらに言えば、手書きした文字を認識してテキスト化したり、それを検索するための仕組みを持っていたりすることだろう。かつてのZaurusシリーズが実現していたこれらの機能こそ、シャープの液晶ガジェットが今こそ実装するべきものだと考える。
Zaurusシリーズのお家芸を知ってか知らずか、Android端末にも手書き認識などの機能を搭載したものはある。さてでは、シャープはどうすればいいか。
そこで提案したい。
電子ノートをAndroidベースで開発するのはどうだろう。そうすれば、DropboxやEvernoteといったクラウドサービスとの連携も自然に視野に入ってくる。上記の時間やレ点の問題はもちろん、手書きしたものがすべてこれらクラウドサービスと連携すれば、その便利さ、ありがたさは飛躍的に上がる。
いやもっと大胆な提言をしてみよう。いっそのこと、Zaurusをスマートフォンアプリとして復活させてしまえばいい。
Zaurusは、1993年の初代モデル「PI-3000」から始まり、2006年の「SL-C3200」までの13年間に累計数百万台を売り上げた同社のヒット商品だ。このインタフェースを持ったアプリを作って乗せてしまうのだ。
Zaurusシリーズも、モデルごとに画面構成や機能は異なるから、インタフェースも複数用意する必要はあるだろう。基本となるのは最盛期の「MI-110M」辺りだろうか。ニーズの多いものを追加していけばいいだろう。
そしてこのZaursアプリからアドレス帳もスケジュールも、手書きワープロ機能も使えるようにする。これらがクラウドツールと無理なく連携するような仕組みにするのだ。かつてのZaurusユーザーは、当時と全く同じインタフェースで利用する。そしてそれらの機能がGoogleカレンダーやDropbox、Google Docsなどとシームレスに連携している。連携するクラウドサービスはユーザーが設定、選択可能にしておけばいいだろう。
かつてのZaurusユーザーは、勝手知ったるインタフェースでクラウドサービスが使えるようになる。いわばガジェットの温故知新である。そしてシャープにとっての資産とは、こういうかつてのZaurusの技術であり、それらのインタフェースを使いこなしていたのべ数百万人の当時のユーザーでもあるはずだ。見た目はAndroid(やiOS)のデバイスでありながら、中身はZaurusというスタイルのガジェットがあれば、かつての愛用者たちはこぞって使うに違いない。
提供イメージはこうだ。ZaurusアプリをまずはシャープのAndroid端末「AQUOS PHONE」にプリインストールした形で出荷する。これはスタイラスの併用が推奨されるだろうから、ストラップを付けた形でバンドルする。
反応がよければ、スタイラス付属の専用ケースを限定で別売りし、市場の反応をうかがう手もある。その後に、Android用アプリとして一般に公開するのはどうだろう。
こうすれば、かつてのZaurusユーザーにアプローチしつつ、現在ではややシニアに差しかかった彼らに無理なくクラウドツールを利用してもらえるはずだ。
これは、どのスマートフォン、タブレットもなしえなかったことではないだろうか。折しも、先日「ポケットコンピュータ」(ポケコン)を再現したiOS向け電卓アプリ「DPC-100」が登場した。これは、iPhoneやiPadなどのスマートフォンやタブレットが他のガジェットのエミュレーターの土台としても存在しうる例として考えられる。
一方で、例えば筆圧に対応してペンの太さが変わったり、Bluetoothキーボード接続時の動作を想定したりするなど、現在のガジェットに求められる仕様も盛り込めば、電子ノートは魅力的なデバイスになるのではないだろうか。
いでよ、Zaurusアプリ内蔵AQUOS PHONE!
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