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» 2013年03月11日 11時30分 UPDATE

スマート文具活用をもう一度考える:デジタルとアナログのイイトコ取り!? スマホ文具のメリットを再チェック

文具の感覚で使えて、スマートフォンと組み合わせればクラウドに保存できる。それがスマート文具だ。各社から登場して久しいが、基本的なメリットをもう一度考えてみよう。

[舘神龍彦,Business Media 誠]

 スマート文具の便利さは、デジタルとアナログそれぞれのメリットを良いとこ取りしている点だ。これが可能なのは、入力とデジタル化の2つのプロセスを完全に分けているからである。

 書くときはメモ帳などの普通の文具と大きな違いはない。デジタルツールのように起動時間やアプリ選択の手間なくすぐに情報の記録ができる。電源も不要だ。


  手書きメモをスマートフォンで撮影してデジタル化する「ショットノート」(画像=左)は、スマホ文具の代表格。EvernoteとMOLESKINEがコラボレーションした「Evernoteスマートノートブック」(画像=右)は、文具メーカーとクラウドサービスのコラボレーションだ

 そして保存(≒デジタル化)にはスマートフォンを使うことで、後述するようなデジタルデータのメリットも享受できる。

 今までPCをメインとするデジタル機器は、アナログのメリットをどうにかして取り込もうとしてきた。それは、ペンのような自由な曲線を描くことであり、紙とペンのように手軽に情報を記録することでもあった。

 この問いに答えるべく、さまざまなソリューションが登場してきた。それは、ペンタブレットやスキャナ、あるいは電子ペンなどだった。一昔前で言えば、スタイラスを標準装備したPDAもそうだったかもしれない。どれも一長一短があったが、手軽なメモ用には決定的なソリューションとは成り得なかった。

 そしてスマート文具は、価格面でも手軽さでも、データの応用方法としても、現時点においてデジタルとアナログのメリットを合わせた決定版といえる。これを可能にしたのは、スマートフォンの普及であることは言うまでもない。

デジタルとアナログ、それぞれのメリットとは

 情報の保存には、デジタルデータが優れている。現時点でPCを使った場合の、デジタルデータのメリットを以下に表としてまとめてみた。まずはこれを参照して欲しい。

表1:デジタルデータの特徴
特徴 具体例
編集 情報の加工や修正ができる
蓄積 物理的に大きな空間を利用することなく情報を蓄積できる
送信 情報を第三者に簡単に送れる
複写 情報を劣化することなく簡単にコピーできる
検索 ファイル名やキーワード、タグなどで情報を検索できる

表2:クラウドツールの普及で加わった特徴
特徴 具体例
遍在 PC、タブレット、スマートフォンなどの各種端末を用いて通信回線経由で情報を利用できる
共有 複数名で同じデータを参照できる

 メモやノートに書いたものは、そのままではこれらのメリットを享受できない。一例を挙げれば、例えばノートや情報カードなどでは大量の情報を記録できても、それを持ち運んだり、簡単に検索したりするのはむずかしい。

 そしてアナログな記録手段にもメリットがある。誰でも実感しているのはその“すばやさ”だ。PCならソフトを起動して、スマートフォンならパスコードを入力してアプリを選択してからやっと入力ができる。そしてノートやメモ帳や手帳なら、ペンを持って開けばすぐに書いて記録できる。

 また文字と図形を自在に混在したり、好きな筆記具を使えたりするのも、文具を使うメリットだ。同じことはPCでもできなくはないが、独自の描画ツールをメニューから選択したり、線を書くのにマウスを使うなどペンと紙のような手軽さ、自由さとはちょっと違う次元の操作が求められる。

 スマート文具はアナログな記録手段でありながら、メモ帳の体裁を持ち、記入面の四隅にあるマーカーと専用のスマートフォンアプリ(およびスマートフォン)によって(1)手軽で素早い記録と、(2)デジタルデータとしての特性、の2つを両立することに成功しているわけだ。

アナログのメリットは“捨てられる”こと

 アナログならではのもう1つのメリットは、捨てられることだ。

 例えばPCでWordなどのファイルを途中まで作成した場合、出来が悪くても、破棄する人は少数派ではないだろうか。何らかのファイル名を付けて保存するはずだ。これは前述のデジタルのメリットである編集が可能だからだ。実際にそうするかどうかは別にして、あとでやり直そうと思うから保存するわけだ。

 これは一方で、不要なファイルが日の目を見ることなくたまる原因でもある。テラバイトクラスの大容量HDDが普及した今では、残り容量を気にする必要はない。しかしデスクトップ検索したときにヒットするノイズという意味では、結局未完成のまま放置されるファイルは邪魔だ。

 その点アナログなメモ(メモ帳など紙媒体に書いた情報)は簡単に捨てられる。編集可能性が低いが故に、書き損じたら、一から書き直す方が簡単だ。

 実はこれもアナログのメリットだ。

 スマート文具も、書いたものすべてをアプリでキャプチャーして保存しなくてもいい。書き損じたものは、捨ててしまえばいいのだ。その方が、例えばEvernote内を検索したときにノイズみたいな情報が引っ掛かる率が低くなる。

 今回はデジタルとアナログのメリットを考察しつつ、スマート文具の意味を考えてみた。次回は今回の考察を敷衍(ふえん)しつつ、スマート文具ならではの使い方を考えてみたい。

著者紹介:舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

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 手帳評論家・デジアナリスト。最新刊『使える!手帳術』(日本経済新聞出版社)が好評発売中。『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)は台湾での翻訳出版が決定している。その他の主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)などがある。誠Biz.IDの連載記事「手帳201x」「文具書評」の一部を再編集した電子書籍「文具を読む・文具本を読む 老舗ブランド編」を発売


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