机は、働いている自分を表現する「リアルのFacebook」机を基地化せよ(3/3 ページ)

» 2013年03月22日 10時30分 公開
[美崎栄一郎,Business Media 誠]
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仕事はリアルな人間関係の中で行われる

 一方、人生はそんなにラッキーばかりではないこともまた確かです。三崎くんはまだ知りませんが、彼がやって来た開発3課、実は課長のアカハナを筆頭に変わった人物、問題人物の巣窟(そうくつ)です。

 それはしばらく一緒に仕事をしてみれば分かってくることなのですが、同僚はあくまで同僚ですから、家族や友人のように注意したりツッコんだりすることは、余ほどのことがない限りはばかられるのが一般的です。まして自分好みに性格や振る舞いを変えることなど、絶対に不可能です。

 どんなに面倒くさい人や妙ちくりんなキャラクターが同僚であろうと、そこが職場である限り、残念ながら受け入れるしかありません。例え心のなかで「嫌だなあ」と思っていても、少なくとも表面上は、嫌味の1つも飛ばすことなく円滑な人間関係を築いていかざるを得ないのです。

 ではストレスを抱えながら我慢し続けるしかないかというと、そうではありません。机を秘密基地化することで、人間関係を良好にできるのです。

 机を5つのセクタに分けると、仕事の効率化と同時により正確には仕事の効率化を図っているような振りをして、面倒くさい人への対抗策も打つことができます。

机はリアルなFacebook

 読者の多くはFacebookに参加していると思います。僕もその1人です。最近知り合いになったばかりの人のページをのぞくと、いろいろな発見がありませんか。こんな趣味があったのか、こんな共通点があったのか、へえ、意外……。

 Facebookは自分をアピールするためのツールでもありますから、意外な発見があるのはある意味では当然です。しかしPCやスマートフォンが普及する前は、発見の仕方が少し違っていたと思うのです。

 思い出してみると、もともとは友人の家に遊びに行って本棚をのぞいたときや、ヘッドフォンから漏れていた音楽、読んでいた雑誌、懐かしいところでは学校に持ってきている下敷きや文房具などのグッズについていたキャラクターから、意外な共通点やつながりを発見していました。

 どんなに在宅勤務の方法やテクノロジーが発展しても、ほとんどの場合ネットだけで仕事を済ませることはできません。だから、相変わらずオフィスには机があり続けています。そしてオフィスにおける机は、依然としてそこに座る主の考えや人柄を移す鏡であり、知らず知らずのうちにキャラクターが描かれているカンバスです。リアルなFacebookなのです。

 しかし机はアナログですから、Facebookと違って自動的にうまいことデザインされるわけではありません。整理整頓されていればよい印象を、そうでなければそれなりの印象を与えます。いつも机をきれいにしている人がたまたま雑然とした状態になっていると、周囲は「今忙しいんだな」という印象を受けます。いつも汚い人が整理すると、「あいつ改心したのかな」とか、「最近ヒマなのか?」という印象を与えるでしょう。

 ちょっと珍しい本や雑誌が置いてあれば、意外なイメージを与えることもあります。それは確実に自分の仕事に影響を及ぼしますし、それがきっかけとなって、何かの拍子にチャンスが転がり込んでくることも考えられます。

 だから、逆用しない手はないのです。Facebookの「お気に入り」を表示するように、机の上をデザインし、カスタマイズすることを考えてみてください。そのためには、机の状況をつねに把握し、ハンドリングする必要があります。

著者紹介:美崎栄一郎(みさき・えいいちろう)

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会社員時代から文房具が好きで、文具術や仕事術に関する書籍を複数出版し、勉強会なども主催。2011年にフリーランスとなり執筆や全国で講演活動などを行っている。本連載の基となった書籍『超iPadバカ 2000種類のアプリをためした男のすごい活用術』(アスコム刊)のほか、著作に『結果を出す人はノートに何を書いているのか』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション刊)『iPadバカ』(アスコム刊)、『アイデアは才能では生まれない』(日本経済新聞出版社刊)、『がんばる人ほど見落としている気づかいの極意』(フォレスト出版刊)などがある。


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