社内で「ありがとう」と言ってますか? 5文字の効果を試してみよう田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(2/3 ページ)

» 2013年03月28日 12時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]

「ありがとう」と言い続けてみる

 コーチングの研修初日、私はこのように話した。「人は褒められたり、感謝されたりするだけで、元気も勇気も湧いてくるものですよ」と。すると1人の受講者から「さっそく自宅で試してみました!」と報告してくださった。

 労いや感謝の言葉、褒め言葉は大事だ」と習ったので、さっそく使ってみようと思った。その日はいつになく早く帰宅できたので、妻とともに食事をすることができた。ボクは食卓についていて、妻が準備してくれているのを待っていた。「感謝を述べるのは今だ!」と緊張しながら言ってみた。「いつもご飯を作ってくれてありがとう」。妻は、動かしていた手を止めてしまった。

 なんとも感動的な場面である。私はすかさず質問した。

 「奥さまは感動のあまり、泣いてしまったのですか?」

 「いや、そうじゃないんです」

 「では、なぜ固まって?」

 「妻がお盆をテーブルに置いて、静かにこう言いました。『あなたは、なぜそれを棒読みで言うの?』と。……感情を込めたつもりだったのに、言い慣れていないから棒読みになっていたようです」

 「それはまずい展開ですね。それでどうなさったのですか?」

 「仕方ないので、研修で習ったから試してみた、と正直に告白しました。そしたら、妻が『無理しなくていいわよ』と苦笑いしまして……」

 「カミングアウトしたのですね。でも、素直にお話しなさったのなら、奥様も納得したのでは?」

 結局、それから「研修ではどんな勉強をしているのか」について夫婦で語り合ったらしい。

 慣れない場合、「ありがとう」という一言でもこの例のように棒読みになることがあるようだ。でも、何度か口にしているうちに自然に言えるようになるはずである。だから、部下や同僚に「感謝する」なんて恥ずかしいなどと言わずに、誰彼となく、「ありがとう」と言い続けてみることが大事だ。

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