「ノマド」「フリーランス」は、考えているほど甘くない楽しく働いて、楽しく生きよう

ノマドやフリーランスにどのようなイメージがありますか? 「好きな仕事を自由にできる?」 確かにそうかもしれません。しかし独立してある程度余裕を持てた人は実際に全体の一体何%なのか。その実態にを目を向けてみましょう。

» 2013年04月03日 12時20分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]
誠ブログ

著者紹介:三河賢文(みかわ・まさふみ)

 1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。誠 Biz.IDで、働き方の変化を考える連載「Re:Work !」を執筆中。


 最近、どうも「ノマド」「フリーランス」といった言葉が危うさを増しているように思います。

  • 自由に働こう!
  • 会社に縛られない働き方
  • 好きなことを仕事に

 なんて言われれば、確かに間違ってはいないし聞こえは良いですよね。会社に属さないわけですから、確かに自由です。ほとんどの人は自分の好きなこと、やりたいことを仕事にして独立するんでしょう。

 そういう私だって同じ。理由はさまざまですが、会社に縛られることなく働きたいと思って独立しました。実際、今はこうしてブログを書いているように自由に働き、自由に生きていると思います。

 各種メディアでは、そんな働き方を「新たな働き方」として大々的に取り上げています。実際のそうしたスタイルで仕事をしている人々を取り上げ、いかに充実して働いているか紹介しているわけです。

 でも、それが危ない。

 ちゃんと考えてほしいのは、そうやってメディアで「ノマド最高!」なんて言っているのは、独立してある程度余裕を持てた人。そんな人、全体の一体何%なのか。ごく一部であることは明らかです。そんな輝かしい一面ばかり取り上げるから「自分もフリーになろうかな」なんて安易に考えてしまう。

 私の周囲にも、そうした働き方にチャレンジしている人はたくさんいます。しかしその実態は、決してメディアで見られるような輝かしいものばかりではありません。

  • 生活できなくなった
  • 仕事がもらえない
  • 収入が下がった

 中には耐えきれず、会社員に戻る人だっているんです。あるいは今「フリーになって良かった!」と言っている人だって、1年後、あるいは3年後にはどうなっているか分からない。それが、会社という組織に守られない働き方のリスクです。

 だから私は、そういう安易なフリーランス・チャレンジに「待って!」と言いたい。表には見えないリスクや苦難が、きっと山のように押し寄せるでしょう。挫折しそうになるかもしれないし、何かを失うかもしれません。それでも、本当にフリーとして仕事をしたいのか。現実を受け止めて、しっかり考えてもらいたい。

 私は独立して約3年ですが、何度もあきらめかけました。収入は波があって、家族にも心配されたことがたくさん。会社員の方が楽だな……なんて、何度思ったか分かりません。それでも貫いたのは、強い気持ちがあったから。ここで多くは語りませんが、フリーランスとして挑戦するうえで譲れない“思い”がありました。

 まず、考え得る限り最悪のシミュレーションをしてみてください。仕事がない、お金が振り込まれない、恋人に逃げられるなど……。そんな未来が待っているかもしれないとしても、挑戦するだけの強い意志がありますか?

 会社員にもいろいろ悩みがあるでしょう。私だって会社員だったころがありますから、分かります。でも少なからず会社から給与は安定的に振り込まれるし、潰れない限りそこに仕事はあります。独立したら、その環境の有り難さをきっと実感するでしょう。それが「雇用される」ということなんです。

 「ノマド」「フリーランス」の良さは、確かにあります。そうでなければ、私だってこの働き方を選びません。しかし最近はその良さばかりが目立ち、悪い部分も含めた"実態"を知る場があまりに少ないことに、心から危うさを感じているんです。

 人それぞれ、合った働き方というものがあります。仕事は人生のうち非常に多くの時間を占めるものですから、人生を楽しむために“働き方”の選択は大切だといえるでしょう。あくまでフリーというものは、働き方の1つに過ぎません。選択肢として加えることは悪くありませんが、その選択にはくれぐれも注意して。

 4月に入り、新卒社員をはじめ新たなフィールドでの活躍をスタートした人も多いことでしょう。それぞれの“幸せな働き方”が、見つかると素晴らしいですね。私もまた、いつも笑顔でいられるような働き方を続けたいと思います。

※この記事は、誠ブログ「Enjoy Life! 楽しく働いて、楽しく生きよう:チャンスはいつでも目の前にあるより転載、編集しています。

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