仕事のやる気を高めるには、どうすればいいの――捉え方で変わる方法田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(3/4 ページ)

» 2013年04月11日 12時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]

嫌いな製品を売らなければいけない

 あるメーカーで営業担当をしていた人から聞いた話である。自分が好きな製品Aがあるからその会社に就職した。好きな製品に熱い思い入れを持ち営業活動をしていた。数年経った時、外資系企業が経営に参画してきて、その外資系企業の製品Bも販売することになった。しかし、その製品はいくら使ってみても好きになれない。もともと自分が販売していた製品と比べ、機能面で劣っているような気がして仕方なかったからだ。

 好きになれない製品を営業していくことほど辛いことはない。従って、徐々に販売に力が入らなくなっていった。営業成績を見ればその様子が一目瞭然である。Aの売上額は高いが、Bは大した実績が作れていない。上司に呼ばれ理由を尋ねられたので、思い切って正直に伝えた。「Bって何がいいんだか分からないんですよね。Aのほうが絶対にいいものなのに、経営統合したからってBも売らなくちゃいけないと、頭では分かるんですけどどうしても抵抗があって」

 すると、上司はこんな風に言ったという。「AもBも今では“自社”製品だ。長い間Aを懸命に売ってきた君にBを販売することに抵抗があるのは分かる。ある面で比較すれば、Aのほうがすぐれている面もあるだろう。でも、Bだって歴史のある製品だ。Bを評価しているユーザがいるってことだ。

 君もBのユーザの気持ちになってBをよく研究してみてはどうなのか? 顧客がBのどこを気に入って買ってくれているのか、真剣に考えてみたら、よい点はたくさん見つかるはずだ。その部分を自分でまずほれ込んでみる。そうしたら、Aと同じようにBも前向きな気持ちで販売できるのではないか」

 こう言われて意識をBに向け直した彼は、Bのよさも少しずつ気づき始め、その良さをアピールしながらお客さんに説明するようにしてみたら、徐々にBも売れるようになったのだという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ