部下やメンバーが気持ちよく発言する方法――簡単なので、お試しあれ田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(1/3 ページ)

会議などの席で、部下があまり発言しない――。そんな悩みを抱えている上司も多いのでは。どうすれば部下は積極的に発言してくれるのだろうか。簡単な方法を紹介しよう。

» 2013年04月25日 12時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]

田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:

 職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。

 本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。

 明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。


 一緒に仕事をしているMさんとの打ち合わせの時のこと。数人でアイデア出しをすることがあり、Mさんが進行役となってブレーンストーミングが始まった。私よりうんとキャリアのあるMさんを前に自分のつたないアイデアを口にするなど躊躇(ちゅうちょ)してしまう場面だ。恐る恐る、「方向性が違うかもしれませんが、○○はいかがでしょう?」と言ってみると、Mさんは満面の笑みで「いいですねえ〜」と反応。「ほかには? もっと言って!」と促された。

 「ほかには、××とか、△△なども思いつきました」と調子に乗って口にすると、Mさんはどんどんメモしていき、「たくさん出てきましたねえ」と言ってくれる。Mさんが予想されていたレベルとずいぶん異なることを私は発言していたと思うのだが、最後まで「いいですねえ」「たくさん出てきましたねえ」「ほかには?」「どんどん出してみて」と笑顔で聞いてくださった。お蔭でアイデアはかなりの数が出てきて、それらを吟味していくステップに進むことができた。

 Mさんの「いいですねえ」「たくさん出てきましたねえ」という反応は、こちらの気負いや戸惑い、不安などを打ち消すものだと感じた。この時、「え、その程度しか思いつかない?」とか「もっといいアイデア、考えられないの?」「うーん、それはどうかな」などと否定的な反応をされていたらどうなっていただろう。ただでさえ、気後れしていた私たちは、さらに自信を失い、「思いつきません」と言っていたかもしれない。

 そもそもブレーンストーミングというのは「否定や批判をしない」ということもそのルールの1つとしてはいるが、それでも職場で「ブレストしよう!」と言ってアイデア出しをする際、年長者や上位職の人は、つい「それは無理ではないか」とか「もっといい意見はない?」といった表現で、さらに上質な発言を求めるようになりがちである。

 否定しているつもりは毛頭なく、単にもっとよいアイデアを考えるよう促しているに過ぎないのだが、言われた側は、どうしても否定のニュアンスを汲み取ってしまう。それにより、メンバーは委縮して、余計に発言できなくなるという悪循環が生まれる。だから、Mさんのように「いいですねえ」「たくさん出ましたねえ」と笑顔で促すのは、とてもスゴいことだと思うのだ。

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