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» 2013年05月07日 10時30分 UPDATE

トップ1%の人だけが実践している思考の法則:ビジネス創設の第1歩、顧客の問題を「認知」する

ビジネスを創り上げる最初のプロセスは、顧客の抱える問題の認知。日常の光景にひそむ問題、顧客の「不」を自分自身で感じ取る観察力、洞察力が重要です。

[永田豊志,Business Media 誠]

 成功する一握りの人々だけが実践する共通の「思考の法則」を知るには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身に付けることが重要です。

 成功者はみな、次にあげる5つのビジネスプロセスを何度も、高速回転で循環させています。私は、キーワードとなった5つの英単語の頭文字をとって「5Aサイクル」と呼んでいます。

  1. 顧客の抱える問題の「認知」(Awareness)
  2. 問題解決のための従来と異なる「アプローチ」(Approach)
  3. アイデアのスピーディな「実行」(Action)
  4. 仮説と実行結果の差異に対する「分析」(Analysis)
  5. マーケットニーズに合わせた柔軟な「適応」(Adjustment)

 今回はこの各プロセスについてもう少し、詳しく説明しておきましょう。まずはビジネスを創り上げる最初のプロセス、顧客の抱える問題の認知(Awareness)です。

ビジネスのはじまりはいつも、市場機会の発見

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 もしあなたが顧客の問題を解決できれば、それは大きなマーケットチャンスとなるでしょう。ビジネスのスタートはいつも市場機会の発見です。

 しかし市場機会は、統計データやアンケート調査の中にはありません。本当の顧客ニーズは現場にしか存在しないからです。市場機会を見つけるためには、直接、顧客に会い、どのような問題を抱えているのかを知ることです。

 資料ばかり見て顧客との一次情報にアクセスしない人に、成功の母は微笑んでくれません。

 寺山修司の有名な戯曲に「書を捨てよ、町に出よう」というのがありましたが、まさに市場機会の発見は、町に出ることです。そして人々をつぶさに観察し、その心理を洞察することから始まります。

 例えば化粧品・栄養補助食品のファンケルは、膨大な顧客からの「不満」「不安」「不便」などさまざまな「不」を集積し、商品開発を行うことで880億円もの売り上げを立てています。「不」はネガティブなものですが、人間はポジティブなものを増やすよりも、ネガティブなものを解消してくれるものにより多くの価値を感じるものなのです。顧客の持つ「不」を発見するということは、金脈を発見するようなものです。ファンケルにとって「不の解消」は経営理念であり、企業としての存在価値そのものになっています。

 もちろんあなたがビジネスを始めていなくて、なおかつその内容が決まっていないうちは顧客を定義できません。しかし、そうした場合でも市場機会を発見することはできます。それはあなた自身の感じる「不」を発見することです。

「不」の中に発見する市場機会

 あなたの日常生活や、家族や同僚との何気ない会話や風景の中にも市場機会は山ほどあるのです。自分の感じた「不満」「不安」「不便」を解消して、億万長者になった例は数知れません。

 例えば米国のビジネスマン、リード・ヘイスティングスは「レンタルDVDの延滞金」という自分自身に起きた面倒事は、ほかの人にも同様に起こっているのではないか、と考えました。そして、その問題を解決するようなサービスを提供しようと、定額借り放題のレンタルDVDビジネスを起こしました。その後は、DVDはストリーミング配信にとってかわり、彼の会社は設立から間もなく北米有数のエンターテイメント配信会社となりました。彼の会社はネットフリックスといいます。

 またテキサス州の銀行家であるジョン・パーカーは、ダラス、ヒューストン、サンアントニオの3都市を仕事で回る際に、移動が不便かつ費用が高いと感じていました。米国内を飛び回るのに、いちいち中継空港を経由しなければならない運航システムに怒りを覚え、サンアントニオで小さな航空会社を営む知人にピアトゥーピア型(直接接続)の近距離専門の格安航空サービスを持ちかけました。

 そしてこの知人の顧問弁護士だったハーバート・ケレハーが、会社の経営者として陣頭指揮をとることになります。これがかのサウス・ウエスト航空のはじまりでした。この会社は米国テロやリーマンショックを物ともせず、ずっと黒字経営を続けています。

 まずは、目を見開くことです。チャンスは目の前にあるのです。そのためには日常の光景にひそむ問題、顧客の「不」を自分自身で感じ取る観察力、洞察力が必要です。

 そして、普段からビジネス機会を強く、強く意識して行動することです。


 なお本連載の基となった『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)では、5Aサイクルの具体例として、グーグルのほか、ダイソン、アマゾンなど今をときめくイノベーティブな企業群のエピソードを18のケースストーリーで紹介しています。

集中連載『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』について

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 本連載は2012年12月19日に発売した『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)から一部抜粋しています。

  • なぜ、Amazonは「大量の小口注文」をさばけるのか?
  • なぜ、Googleは「独自の検索システム」を編み出せたのか?
  • なぜ、ディズニーランドは「夢」を売ることができるのか?
  • なぜ、ダイソンは「羽根のない扇風機」を開発できたのか?

 本書は、イノベーションを起こして、ビジネスで勝ち残るための「思考法則」についての解説書です。これからの働き方は、大きく変わります。今まで通りに目の前にある仕事を頑張って働くのではなく、新しいイノベーションを起こしてソリュ―ション(問題解決)することが不可欠になります。本書はあなたの仕事にイノベーションを起こすために、トップ1%のできるビジネスマンだけが実践している「思考の法則」を著者、永田豊志氏が見つけ、分かりやすくまとめたものです。

 「営業」「企画」「経理」「総務」「財務」「マーケティング」――など、あなたが何を専門に従事しているかはまったく関係ありません。すべてのビジネスパーソンに必要な「思考」だからです。ぜひ、本書を読んで、変化の激しい時代に、あなたがたくましく生き残れるよう役立ててください。

著者紹介:永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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