自分の席でどーんと座っていてはダメ――“社内回遊”のススメ田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(1/3 ページ)

「部下から話かけてもらいたいのに、なかなか来てくれない」――そんな悩みを抱えている人もいるだろう。では、どうすれば、この問題が解決されるのか。まずは社内を歩き回ることから始めてみよう。

» 2013年05月02日 07時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]

田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:

 職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。

 本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。

 明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。


 20年近く前の上司の話だ。彼は人と会話をするのがとても上手で、相手を自分の土俵にうまく乗せてしまうタイプだった。部下ともよく話すが、部下からもまたよく話しかけられていた。他の上司の時よりもチーム全体の会話が活性化していたので、何が違うのか観察していたら1つ大きな特徴があることに気付いた。

 「回遊」するのである。

 例えば、オフィスに2つの島があるとする。朝出社してきて、自席に着くまでは右側の島の間を通る。そして、席についている部下たちになんとなく声を掛ける。席を立ってどこかへ行く時、今度は左側の島の間を通る。戻ってくるとまた右側。ランチタイムは左側……。そのような感じで、いつも異なるルートを通っていた。そして全員ではないが、何人かに必ず声を掛けていく。

 これだ! たいていの上司は、まず自席にどーんと座っている。彼・彼女らは「いつでもどんな時でも話しかけてね」「私はオープンドアポリシーだから」というスタンスを表明していることが多い。当人はいつでもどうぞと言っていても、実際に部下がしょっちゅう相談に出向くかというとそんなことはない。部下にしてみれば「わざわざ上司の席に言ってまで話すことじゃないし」とか「上司のところに行って、わずらわせるようなことでもないし」と考え、上司に話しかけることはなかなかしない。歳が離れていたらなおさらである。

 そんな状態の時、上司側が回遊していくとどうなるか。部下からすれば上司が自分の席にやってくることになる。部下のテリトリーに上司が入ってくるわけだ。そうなると、がぜん話しやすくなる。

 「今、何をしているところ?」(←ここでのセリフは会話のきっかけづくりなので、軽い質問がよい)

 「今は、○○を調べています」

 「なるほど。何か困っていることはある?」

 「いえ、ないです。あ、ところで、ちょうどいいところにいらしたので、××の件でちょっと相談があったんですけど、今いいですか?」

 こんな風に「××の件」を発掘することができるようになる。人は自分のテリトリーにいるときのほうが安心して会話ができるからだ。

 こういう「回遊型」のコミュニケーションは、立場が上の人に特にオススメだ。また、問い合わせ窓口になるような仕事をしている人にも有効である。

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