フリーランスで働く本当の意味フリーランスを目指す前に(2/3 ページ)

» 2013年05月21日 18時20分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

フリーで働くということ

 都市部に住んでいる人であれば、カフェでノートPCを広げ、長い時間コーヒーを飲みながら何やら作業している人の姿を一度や二度は見たことがあるだろう。全ての人がそうではないが、恐らくその多くが「ノマドワーカー」としてフリーで仕事をしている人である。

 フリー=自由

 直訳すればこうなるが、それゆえに少々一般での認識に誤解があるようだ。ノマドのようなワークスタイルもまさに「自由」を象徴しているようなものだが、フリーで働くということはただ自由なだけではない。

 フリーランスを「自由」と表すのであれば、確かにその通りではある。働く時間も場所も、仕事内容も、何もかもが自分次第で決められるのだから。会社員であれば、そうはいかないだろう。ある程度の裁量を任されたとしても、必ず最後には会社の意向に沿っていく必要がある。

 実際に私がフリーで仕事をしてみて感じた一番の自由は、「時間」の自由だ。夜遅くまで仕事したら朝ゆっくり寝られるし、仕事の合間に少し休憩でスポーツジムへ行くことだってできる。仕事を調整すれば夏季や年末年始でなくても連休が作れるし、平日に出掛ければショッピングセンターや観光地だってガラガラである。

 私は趣味でマラソンやトライアスロンをやっているが、レースに出たりトレーニングしたりするにも、時間が自由になるのは大きなメリットとなった。小さな子どもがいる身としても、家族との時間が多く取れることはありがたい。

 と、こうして見ればフリーという働き方にあこがれる人は多いだろう。特に会社員としてさまざまな制約を受けながら日々仕事に取り組んでいる人にとっては、輝かしく見える部分があるはずだ。

フリーランスになることのリスク

 しかし残念ながら、メリットがあれば逆にデメリット(リスク)もある。そしてフリーで働くことについていえば、このリスクは皆さんが思っている以上に大きいものであることを、まずはお伝えしておきたい。

 そのリスクとは、「責任」である。自分で行ったことに関しては、自分に責任がある。これは当然のことだ。しかし会社で働いていると、たとえ失敗しても最後には上司がカバーしてくれたり、100%直接自分に責任が課されるというシーンは極めて少ない。怒られたとしても、「次はしっかり頼むよ」と背中を押されて終わりだ。

 フリーで働くということは、「1人で働く」ということだ。もちろんチームを組んだりすることもあるし、クライアントその他の関係者と連携して取り組む仕事もある。しかしあくまで、それは“周囲”にすぎない。何かミスを犯せば全て自分の責任。むしろ協力関係にあったはずの周囲からさえ、責任を問われることもあるだろう。

 もっと分かりやすい例をお伝えするなら、「収入が得られなくても、自分の責任」ということだ。

 会社員は雇用がある限り、どんなミスをしても収入は得られる。しかしフリーで働くということは、その収入そのものについても自己責任なのだ。

  • 独立したものの、全く仕事が得られない
  • 最初は前職のつながりで仕事があったが、関係が切れた途端に収入が激減した
  • 仕事に波が大きくて、生活が計画的にできない

 などということは、よく聞く話。実際に私も毎月の収入は安定的ではないし、独立して最初の1年なんて大変の一言だった。

 誰だってイメージはできるし、独立することに気持ちが高ぶっていれば、自然とそのイメージは「成功」につながっている。働いた分の収入は全て自分のものだから、お金も時間も今よりずっと自由になっていく。そんな思いをはせているのだ。しかし実際は、そう簡単にはいかない。会社員としてどんなに活躍した人だって、フリーとして独立しても上手くいく保証などないのだ。

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