フリーランスでどんな人生を送りたいのかフリーランスを目指す前に(1/2 ページ)

もしあなたがフリーランスで働きたいと思っていて、その理由がただのあこがれや今からの逃亡なら考え直した方が良いかもしれない。そのための指針は、やはり自分の人生プランにある。

» 2013年05月23日 10時00分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

集中連載『フリーランスを目指す前に』について

 本連載は2012年12月14日に発売した『フリーランスを目指す前に読む本』(三河賢文著、豊作プロジェクト刊)から一部抜粋しています。

 オフィスを持たずに、どこでも仕事ができる新しい働き方。会社員の中にも、外出先で空き時間にカフェなどから仕事をしていることがある。しかしこの働き方のほとんどは、いわゆるフリーランスワーカー達だ。近年は働き方が多様化しており、こうしたフリーランスが増えている。

 このような働き方が生まれた理由の1つは、やはりITの進化だろう。PCなどの電子機器やインターネットサービスが普及して、働くことに自由度が広がったのだ。もう1つは、社会環境の変化である。長引く不況に企業は苦しみ、そしてその企業に対して人々が不安不満を抱く。こうした心理的変化が、「会社を飛び出す」という選択肢につながっていくのである。

 しかし近年、どうも「フリーランス」「ノマド」という言葉だけが独り歩きしているように思える。こうした働き方をする人々に対して否定的な見方を示す人も増えているし、どうやら働き方に伴う“品格”ともいえるものが崩れてしまっているのではないだろうか。

 私自身そうした働き方を実践する身として、この働き方は月並みだが素晴らしいと思う。しかし万人にとってではなく、やはりメリットがあればデメリットもある。これから起業・独立あるいは副業などでノマドを目指す人には、こうした働き方の持つ「本質」について良く理解しておいてほしい。その上で、1つ働き方の選択肢として、「フリーランス」を目指すべきかを考えてもらいたい。


 今でこそ少なくなったが、一時期はフリーランスの働き方にあこがれの視線を送る人が多くいた。そのため安易にフリーランスとして働く道を選ぶ人が増え、残念ながら結果として上手くいかない例も後を絶たない。

 ここで伝えたいのは、あくまでフリーランスが働き方の選択肢の1つにすぎないということだ。この選択を誤ってしまうと、思い描いていたような未来など到底得られないだろう。

どんな人生を送りたいのか

 私は働き方を選ぶにあたって、将来を含めた「人生」プランを考えることをお勧めしている。10年、20年、30年たった自分は、どういう自分でありたいのか。家庭を持つのなら、どんな家庭を築いていたいのか。こうした人生プランを一度考えてみてほしい。

 もし結婚しているのなら、パートナーの意見も必要になる。フリーで働くことについてのリスクは本連載第1回第2回で述べたが、それでも独立の道を目指すのであれば、そのリスクはあなたからパートナーへ伝える必要があるだろう。

 これは賛否両論あると思うが、仕事はあくまでも人生を形成する1つの要素にすぎない。つまり「生き方」にひも付いて、「働き方」の選択があるということだ。自分の目指す人生プランに最適な働き方が何なのか。このことが、結局は仕事を充実させることにもつながってくるだろう。

 私の場合、基本的な軸は「時間」である。今に至るまでの経緯を、少し紹介しよう。

始発、終電コースで働いて見えたもの

 大学3年で人材ベンチャーにインターンシップ入社し、始発、終電コースで毎日働いた。かなり疲労困憊ではあったが、充実はしていたのを覚えている。このころはとにかくがむしゃらで、それこそ仕事だけの毎日と言っても良かっただろう。しかしそのことに、大きな不満はなかった。

 しかし私は、大学を卒業してほどなく結婚した。そして子どもが生まれ、現在は2児の父親である。家庭を持つことによって、私は自分の人生プランを真剣に考えるようになった。毎日朝から晩まで会社にいて、たまに休日出勤。休日は疲れて昼前まで寝ているような生活が、果たして望むものなのか……。

 大学卒業後に入社した会社は、そこまで残業の多い環境ではなかった。もちろん入社すぐは仕事を覚えるのに大変だったが、慣れてくれば20時ごろには平均して会社を出ていた。しかし異動があり、毎日が終電の生活が訪れる。すると私の中で、こんな思いが頭を過ぎるようになった。

 「このままで良いのか」

 そして最終的には、異動から5カ月で転職。転職したのは、フレックスタイム勤務が可能な環境だった。このとき既に、私の中では「時間」を軸として考え方が変化していたようだ。子ども達との時間、そして仕事以外にやりがいを持っていたい思いが生まれ、転職したのだった。

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