説得能力を高めるには“人まね”をしよう一撃「超」説得法(1/3 ページ)

「超」説得法は、日常的にさまざまな機会に意外で多用している。ではどうすれば一撃能力を高められるだろうか? 一番効率的なのは、説得が上手な人を見つけて、その人のまねをすることだ。

» 2013年05月24日 10時30分 公開
[野口悠紀雄,Business Media 誠]

集中連載「一撃『超』説得法」について

 本連載は2013年4月12日に発売した『「超」説得法 一撃で仕留めよ』(講談社刊)から一部抜粋しています。

 出版界の最前線で、100万部突破をはじめ数々のヒット作品で多くの読者の心をつかんできた野口悠紀雄が、成功する説得の要点を大公開。

 「たくさん投げるは人の常。一撃突破は神の業」「ドラッカーを読むより聖書を読もう」「必要なのは、正しさでなく、正しいと思われること」「うまく命名できれば千人力」「悪魔の方法から盗めないか?」など、全11章で説得までの筋道を、順を追って分かりやすく解説。

 説得の理論、相手の心のつかみ方とそのタイミング、ネーミングや比喩の使い方、やってはいけない説得法まで、具体的事例を交えながらビジネスシーンで活用できるノウハウを伝授する。


 本連載の最初で「一撃で説得するのだ」と言ったとき、多くの読者は「そんなことができるのか」「それは邪道だ」「まゆつばだ」と考えたに違いない。

 しかし、日常生活で行っていることをあらためて振り返ってみれば、これは普段行っている一般的な方法であることを納得したことだろう。

誰もが実際に使っている方法

 「超」説得法は、日常的にさまざまな機会に意外で多用している。だから、まったく目新しい奇抜な方法を提案しているわけではない。普通使われている方法をまとめただけだ。

 実際、人々は新商品の名前をどう付けるかと苦労し、相手を説得するために比喩や格言やことわざをどう使おうかと苦労している。つまり人々は、日常的に「超」説得法を心掛けているのだ。そしてその強力さを認識している。

 洋の東西を問わず、巧みな説得者はこの方法を普通の人より巧みに使ってきた。というより、この方法を巧みに使えたために、巧みな説得者になりえたのだ。

 だからこれまで示したように(そして、以降も示すように)、多数の例を挙げられるのだ。そして文学作品の中にも、「超」説得法の例が多く見られる。聖書も論語も、基本的な方法は、「超」説得法なのである。

 この方法が特に重要な意味を持つのは、政治家や宣教師など、主として口述で聴衆を説得する必要がある人、作家や論述者など文章を通じて読み手を説得する必要のある人、そして、セールスマンなど対面の相手を説得する必要がある人である。

 いや、それだけではない。誰でも面接試験を受けなければならない。それが人生の経路を決めてしまうこともある。特に日本の雇用慣行の下ではそうである。また会議では、自分の意見を主張して賛同してもらわなければならない。会社の中での地位が上がるほど、他の人を説得すべき機会は増える。

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