ビジネスもダーウィンの進化論と同様に、激変する環境に合わせてビジネスモデル、製品内容をその都度、修正していけるかどうかが鍵です。綿密な計画より、スピーディーな実行と修正。失敗を恐れず、まずはアクションしてみましょう。
成功する一握りの人々だけが実践する共通の「思考の法則」を知るには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身に付けることが重要です。
成功者はみな、次にあげる5つのビジネスプロセスを何度も、高速回転で循環させています。私は、キーワードとなった5つの英単語の頭文字をとって「5Aサイクル」と呼んでいます。
各プロセスについてもう少し、詳しく説明しておきましょう。今回は第5のプロセス、「「適応」(Adjustment)」です。
新しいビジネスのアイデアを実行してみると、思いもよらない結果になることがしばしばあります。その分析結果次第では、進むべき方向性は修正されるでしょう。修正の規模は、期待と結果の差異によってさまざま。細かな商品設計や販売方法の見直しで済めばOKです。しかし場合によっては、主力事業自体を根本から見直す必要も出てくるかもしれません。
そもそも想定した通りに進められるビジネスなんて、ほとんどないはずです。だからこそ、環境に対して柔軟に「適応」(Adjustment)していくことが必要。顧客のニーズに合わせて自分自身、そして提供するサービスも変えなければいけません。
本来持っている理念やビジョンを大事にしながらも、スピーディーに大胆に自らを進化させるのです。この際、変えてよいところや変えてはいけないところの境界線をよく理解していることが大事です。
富士フイルムは、フィルム業界がデジタル化によって斜陽になるのを見越して、社名に刻まれるような主力事業を事実上、撤退してしまいました。そして会社のコアコンピタンス(超微細粒子、コラーゲン制御などフィルムを扱う上で蓄積した技術)を、化粧品など経験のない新分野で生かして成功したのです。
つまり勇気ある撤退があったからこそ、経営資源を新しい分野に向けて変身できたのです。一方、同時期に栄華を誇っていたライバルのコダックはその後、破産法適用となりました。
環境変化に追い付かなかった恐竜が滅びたように、適応スピードが遅いと命取りになることもあります。過去の成功が未来のチャレンジを阻むこともあります。だからこそ、市場が望む方向へ自らを適応させること。その勇気が必要です。
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