ところで、パケット料金が定額だからといって通信をガンガン使っていると、高速通信ができなくなるのをご存じですか。LTEスマートフォンは、1カ月の通信量が一定量を超えると、通信速度が制限されるのです。この場合、通信速度を高速に戻すには追加料金が発生するので、これは避けたいところです。
では、まずケータイ各社のパケット定額について、どれくらい通信すると制限がかかるのか、追加料金がいくらになるのかを見てみましょう。
項目 | NTTドコモ | au | ソフトバンクモバイル | イー・モバイル |
---|---|---|---|---|
パケット定額サービス | Xiパケ・ホーダイ ライト | LTEフラット | パケットし放題フラット | データ定額5 |
月額料 | 4935円 | 5985円 | 5460円 | 3880円 |
通信量制限 | 3Gバイト | 7Gバイト | 7Gバイト | 5Gバイト |
追加料金 | 2625円(2Gバイト) | 2625円(2Gバイト) | 2625円(2Gバイト) | 2625円 |
ドコモとイー・モバイルは月額料金が安い代わりに、制限のかからない通信量が少なめ(ドコモには7Gバイトまで使えるXiパケ・ホーダイ フラット 月5985円もあります)。auとソフトバンクは月額料金は高いけども7Gバイトまで使えます。通信量を超過すると、それぞれ通信速度は128kbpsに制限されます。LTEでは通信速度が最大100Mbpsにもなるので、128kbpsといえば1000分の1の速度になってしまうのです。
もっとも一昔前のケータイの通信速度も128kbpsくらいだったわけですから、メールをやり取りするくらいなら問題ないとも言えます。もし月末に通信速度が制限されても、メールができるのなら仕事では何とかなりそうです。翌月に通信量の制限が解除されるまで我慢するという手もあります。
どうしても高速通信に戻したいのなら、追加料金を支払います。これも各社の専用サイトで支払い手続きが可能。ドコモ、au、ソフトバンクは2Gバイトごとに2625円。ただしソフトバンクのiPhoneは、テザリングオプションに未加入の場合、通信量の制限がありません。また、イー・モバイルは、追加の2625円を払えば特に制限なく使い続けられます。
では通信量が増えるのは、どんな操作をしたときなのでしょうか。こうした操作を避ければ、高速通信のままで追加料金を支払うこともありません。
そこで通信量の目安も確認してみましょう。ソフトバンクモバイルのWebサイトに提示されていたので、それを参考に2Gバイトと7Gバイトで1カ月に使える通信量の目安をまとめてみました。
項目 | メール送受信 | Webサイトの閲覧 | 動画視聴 | 音楽ダウンロード |
---|---|---|---|---|
2Gバイトのパケット通信量の目安 | 536万通 | 1万4400ページ | 9時間 | 510曲 |
7Gバイトのパケット通信量の目安 | 1870万通 | 5万600ページ | 33時間 | 1790曲 |
これを見て分かるのは「動画の見過ぎに注意したほうがいい」ということです。
メールやWebサイトの閲覧、音楽のダウンロードについては、個人でここまで使う人はまずいないでしょう。しかし動画を見た場合は危険です。2時間の映画を月に7本見ると通信量が3Gバイトを超える計算になります。最近はケータイ各社が動画サービスを充実させています。スマートフォンでLTEにつないだまま動画をたくさん見ていると、あっという間に通信量の制限に引っ掛かります。
節約を考えるのなら動画は見ないようにするか、見ても短時間にしておきましょう。
さらに慎重を期すのなら、先ほどの料金を確認した専用サイトで、自分の使っているデータ通信量を確認します。動画を見ないで使っていれば3Gバイトに達することはまずありませんが、動画を見た人はどれくらい通信量に余裕があるのか、チェックしたほうがいいでしょう。
それでもスマートフォンで動画を長時間見たいなら、無線LANを使うとよいでしょう。自宅に無線LANルーターを設置しているなら、通信設定を「無線LANのみ」に切り替えることで、余計なパケット通信を抑えられます。外出先では「公衆無線LANサービス」を使うといいでしょう。
また仕事をしていると、どうしても「テザリング※」を使うシーンが出てきます。ケータイでは少ないテザリング対応機種も、最近のスマートフォンならほとんどが対応しているので、やはり加入しておくと便利です。テザリングはパケット通信を使います。PCでネットにつなぐと通信量が大きくなりがちです。しかしたまに使う程度なら問題はないでしょう。
※スマートフォンを外付けモデムとして使うことで、タブレットやゲーム機、PCなどの機器をインターネットに接続させる機能
むしろ問題は公衆無線LANサービスとテザリングが、有料のオプションだということです。前述したように料金が増える原因の3にあたります。しかしケータイ会社では、これらのサービスを無料で使える期間限定のキャンペーンを実施しています。
無料になる条件を、ケータイ会社ごとに表にまとめてみました。
ケータイ会社 | NTTドコモ | au | ソフトバンクモバイル | イー・モバイル |
---|---|---|---|---|
サービス名 | docomo Wi-Fi | au Wi-Fi SPOT | ソフトバンクWi-Fiスポット | EM Wi-Fi SPOT |
申込 | 必要 | 不要 | 必要 | 必要 |
利用料金 | 月315円 | 無料 | 無料(※月490円) | 月380円 |
無料の条件 | spモード+指定パケット定額他 | 指定パケット定額 | 指定パケット定額 | なし |
※2段階のパケット定額に契約した人は有料
ケータイ会社 | NTTドコモ | au | ソフトバンクモバイル | イー・モバイル |
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利用料金 | 0円 | 月525円 | 月525円 | 0円 |
無料の条件 | なし | LTEスマホで0円/最大2年 | 指定パケット定額で0円/最大2年 | なし |
申込 | 不要 | 必要 | 必要 | 不要 |
ドコモの公衆無線LANサービスは月額315円ですが、ほとんどの人が0円で使えます。無料条件の「spモード+指定パケット定額他」は、「Xiパケ・ホーダイ ライト」など一般的なLTEスマホの契約を含むからです。無料でdocomo Wi-Fiが使えます。テザリングはとくに条件はなく0円で使えます。
auもLTEスマホならau Wi-Fi SPOTを無料で使えます。有料の可能性があるのはタブレットです。一方でテザリングは最大2年間という「条件付きの無料」です。
ソフトバンクもauとほぼ同じです。ソフトバンクWi-Fiスポットは一般的なLTEスマホの契約なら無料で使えるので心配ありません。「※月490円」としているのは、一定額ではない2段階のパケット定額に契約した人が有料になるからです。ただしテザリングもauと同じく最大2年間という条件付きの無料です。
イー・モバイルは、EM Wi-Fi SPOTが有料です。執筆時点(2013年6月10日)で無料になるキャンペーンも実施していません。ちょっと残念ですが、そもそもパケット定額代がとても安いですから良しとしましょう。テザリングは条件なしで0円です。
このように公衆無線LANサービスとテザリングも、多くのLTEスマホでは無料で使えます。申し込みが必要な場合でも、LTEスマホへの機種変更の際に同時に申し込みを行っているケースが多いでしょう。確認したい場合は、My docomoなどの専用サイトで確認できます。
LTEスマホの料金を節約をするためには、まず自分がどんなサービスにどれくらいの料金を支払っているのかを把握するのが重要です。そんなときにケータイ会社の専用サイトはとても便利なので、ぜひ利用して下さい。
釣りと猫を愛する1982年生まれのフリーライター。宮城県出身。神奈川大学卒業後、編集プロダクション「ゴーズ」に入社。携帯電話の記事に携わり後に独立。雑誌、Web媒体でスマートフォン、タブレット、家電周辺の記事を細々と執筆している。ケータイライターを自称しているが「電話が苦手」「人見知りする」というコミュニケーションとは正反対の側にいる人物。30歳で糖尿病と判明し、ダイエットをしてはリバウンドする日々を送る。著書に「初めてでも絶対わかるiCloud&iTunes」(ソフトバンク クリエイティブ、共著)など。
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