後編 ポメラ「DM100」とiPad、FlashAirで、“ノートPCレスのワークスタイル”を試すIT記者はポメラでノマドワーカーになれるか(2/5 ページ)

» 2013年06月19日 10時00分 公開
[森田秀一,Business Media 誠]
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DM100のBluetooth機能でできること

Photo Bluetooth機能の設定画面。キーボードとして接続するか、FTP接続するか、ここで選択する

 まずはDM100のBluetooth機能を見ていこう。具体的には、「HID(Human Interface Device)プロファイルでiOS端末に接続してキーボードとして使う」「FTPプロファイル接続できる端末との間でファイルを送受信する」という2つの機能がある。

 外付けキーボードのメリットは、iOS端末側に直接文章ファイルを生成できる点につきるだろう。具体的にはiOS標準の「メモ」アプリや「メール」アプリでの文章入力を行えるはずだ。今回は、iPad 2 Wi-Fiモデル(16Gバイト)にiOS 6.1.3を適用させた状態で試してみた。

 iOS端末とBluetoothキーボードを接続して、おそらく最初に面食らうのが、入力モードの切り替えだ。DM100には、Windowsキーボードでおなじみの「半角/全角」キーがあるものの、iOS端末では反応しない。半角英数と全角日本語の入力切り替えは、ポメラの「無変換」と「スペース」の同時押しが必要になる。

Photo キーボードとして接続すると、ポメラ側はこの画面表示に(画面=左)。「無変換」と「スペース」の同時押しで入力モードを切り替える(画面=右)

 また、DM100のサポート情報ページでは「かな入力未対応」とのことだったが、少なくとも今回の環境では入力できた。iOS側の「設定」→「一般」→「キーボード」→「キーボード」において、「日本語(かな:かな入力)」をいう値を登録しておけばいいようだ。

 これはよく知られたことだが、キー配列は一律で英語配列になってしまう。日本語JISキーボードとしては登録できないので、例えば「@」キーを押すと、画面上には「@」ではなく「=」が入力される。DM100のキートップの刻印はもちろん日本語JISなので、この仕様は慣れていないとかなりツライ。

 肝心の漢字変換は、当然iOS側の処理という扱いだ。このため、変換候補などはiOS側の日本語入力システムに依存する。極端な長文を一括入力するのでなければ、それほど困ることもなさそうだ。「Shift」と左右カーソルキーの組み合わせによる文節伸縮ができるため、画面をタッチする必要もほとんどない。一方、「Ctrl」+「I」や、「F6」によるカタカナ直接変換などはできなかった。

Photo 実際に入力変換を行っているところ(画面=左)。かな入力も行えるようだ(画面=右)

 DM100側からのキー入力が一定時間行われないと、Bluetooth接続はいったん解除される。また、接続が確立していながらも、iOS側が先にスリープ状態に移行したときは、DM100のボタンをどれか押すだけでスリープが解除される(=ロック画面を経由しない)。これはかなりありがたい配慮だ。なお、再接続はDM100の画面左上側にある専用ボタンから行えるので、そこまで煩雑ではない。

 なお、Bluetoothキーボードの接続中は、基本的にiOS側のソフトウェアキーボードは呼び出せない。どちらか一方のみの排他使用になるらしく、Bluetooth接続が解除されたとたんに、ソフトウェアキーボードの表示が復活するという具合だ。

 Bluetoothキーボードの接続機能自体はそこそこ便利なのだが、やはり英語配列限定になってしまうのが惜しいところだ。将来的なiOSアップデートで改善される可能性もあるが、ユーザーの大半を占めるであろう日本語JISキーボード習熟者が、今日この段階においてとまどうのは間違いない。

 一方、FTPプロファイルによるファイルの送受信は、iOS端末では未サポートだ。外部からのファイル取り込みや、複数アプリの同時起動(ウインドウとしての同時表示)が不得手なiOS端末ゆえ仕方ない部分だ。

 なお、正式サポートはしていないものの、Android端末とDM100の接続性も気になるところだ。そこで、私物の「Nexus 7-32T」(SIMカード対応モデル)でチェックしてみた。OSのバージョンは4.2.2。IMEはATOKの月額制バージョン(ATOK Passport)を使った。

 まず、キーボードとしての接続は問題なく行えた。英語配列で認識されるが、漢字入力の開始は「半角/全角」キーであり、また、Ctrlキーやファンクションキーによる変換が可能だったのも非常にうれしい。ただ、このあたりの挙動はIMEに依存している部分だろう。

Photo Nexus 7(Android)とのキーボード接続も可能だった
Photo エディターで実際に入力している様子

 一方で、かな入力への切り替え方法がどうしても見つからなかった。また、FTPプロファイルでの接続もできなかった。オフィシャルなヘルプ記事などは見つからなかったが、どうやらNexus 7ではFTPプロファイルをサポートしていないようだ。

 以上、DM100のBluetoothキーボードをいろいろ試してみた。ただ、これらの機能は「日本語配列のBluetoothキーボード」ゆえのものであって、DM100である必要はない。DM100にはしっかりとしたモノクロ液晶があるため、タブレットをキーボード入力に適した位置に固定すると、デスク周りの収まりは決してよいわけではない。スマートフォンとDM100の2台持ちユーザーが、外出先で急いで長文メールを書く必要があるときに役立つ機能ではないか、と思う。

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