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» 2013年06月27日 10時30分 UPDATE

「話し方」より「答え方」:マイケル・ジャクソンのすごさを説明しなさい

「すごさ」とは「他より抜きん出ていること」。つまり「他との違い」です。片方だけ述べても完結しないのです。「すごさ」は「比較」で示すことで、相手とスムーズに意思疎通ができるのです。

[鈴木鋭智,Business Media 誠]

仕事に必要なのは、「話し方」より「答え方」について

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 部下の仕事の9割は、聞かれたことに正しく答えることです。ビジネスにおける答え方には「こう聞かれたら、こう答える」という決まった型があります。「打てば響く部下」と思われるために必要な「受け答え」の技術を大手予備校で現代文、小論文を指導する「国語のプロ」が伝授します。

 この記事は2013年6月14日に発売された中経出版の『仕事に必要なのは、「話し方」より「答え方」』(鈴木鋭智著)から抜粋、再編集したものです。


 いまの中学生はマイケル・ジャクソンを知らないそうです。無理もありません。彼らが物心ついたころには、裁判やらスキャンダルやら本人の奇行やらですっかり「変な人」として報道されていたわけですから。

 だから、マイケルが亡くなった途端にマスコミが手のひらを返してマイケルを絶賛し始めたのが、不思議で仕方ないというのです。

 リアルタイムで『スリラー』に衝撃を受けた世代とは、マイケルを見る文脈がまったく違ういまどきの子どもたち。

 「答え方」を学ぶ第1歩として、そんな中学生を説得していただきましょう。

問題「マイケル・ジャクソンのすごさを説明しなさい」

× 全世界で7億5000万枚のアルバムを売って「キング・オブ・ポップ」と呼ばれた人。あのパフォーマンスを見れば絶対感動する。この価値が分からないやつは人間として絶対おかしい。

○ 当時のアメリカの音楽番組は黒人歌手の映像をほとんど放送しなかったのに、マイケルの歌とダンスとミュージックビデオが斬新すぎたおかげで、人種の壁を超えるきっかけになった。


 「7億5000万枚」という数字を単独で出されても、その世界の「相場」を知らない人には、それがどれくらい飛び抜けた数字なのか判断できないものです。

 算数のテストで80点を取ったとき、普段30点の子は大喜びしても、普段100点の子はがっかりするでしょう。数字は相場との比較で意味を持つのです(ちなみに、マイケルの7億5000万枚という数字は、エルヴィス・プレスリーやビートルズに次いで3位だそうです)。

 またDVDを見れば必ず感動するかというと、それは分かりません。何しろ相手は『アバター』や「シルク・ドゥ・ソレイユ」など刺激の強いエンターテインメントを観て育っている21世紀の子どもたち。現代の映像技術や舞台芸術がマイケル・ジャクソンの影響を多大に受けているとしても、彼らはそんな歴史的系譜にはおかまいなしに「ムーンウォークって、一発芸の定番でしょ?」などと無礼千万なことを言いかねないのです。

違いの説明=Aは○○+Bは△△

 「すごさ」とは「他より抜きん出ていること」。つまり「他との違い」です。片方だけ述べても完結しないのです。平均との違い、ライバルとの違い、以前との違い……。まず比較対象を示して、相手との間に「相場」を共有することが必要です。

 ビジネスでは売り手とお客さま、上司と部下、現場と管理職など、持っている知識が異なる人同士が会話をすることが普通。理解してもらえずに「この、分からずや!」と怒るよりも、はじめから「Aは○○ですが、Bは△△です」という話し方をクセにしておいたほうが誰とでもスムーズに意思疎通できるのです。

 では練習として、次の問題に挑戦していただきましょう。

問題「電子書籍のメリットを説明しなさい」

× いつでもどこでも簡単に本が買えて、気軽に読むことができる。

○ 紙の本は本棚や鞄に入る数が限られるのに対し、電子書籍は何千冊でも持ち歩くことができる。


 本は、昔から「いつでもどこでも気軽に」読むことができるもの。それにコンビニや駅の売店など、案外至るところで売られているものです。

 「電子書籍の特徴」を説明するには、電子書籍「ではないほう」、つまり「紙の本」との違いを考えるのが正解。いちいち「紙との違い」と言われなくても、「ではないほう」にパッと気が付きましょう。

 「Aは○○、Bは△△」という型が身に付いていると、話すときだけではなく、考えを整理するときにも役に立つのです。

今回のまとめ:違いの説明=Aは○○+Bは△△


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