「外見を気にせず中味で勝負」は間違っている世界で通用する人がいつもやっていること(1/2 ページ)

誰が言い始めたのか「人は見かけによらない」なんてよく聞きます。しかし、この言葉は100%ウソだと中野氏は言います。外見の印象の悪さで、実績は減点されてしまうこともあります。相手が好感を持てるような外見を心がけることが肝要なのです。

» 2013年06月27日 11時00分 公開
[中野信子,Business Media 誠]

集中連載「世界で通用する人がいつもやっていること」について

 本連載は、世界で通用する仕事やコミュニケーションをこなす一流の人たちが実践していることを紹介している、中野信子氏著、書籍『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』(アスコム刊)から一部抜粋しています。

 世界で通用する人がいつもやっていることとは、具体的にはどういうことなのでしょうか? 実は、「空気は読まない」「敵を味方にしていく」「適度なストレスを与える」「いつでも仕事が楽しそう」など、ちょっと練習が必要なものもありますが誰もが簡単に身につけることができるものばかりなのです。

 著者の中野氏は、東京大学大学院医学系研究科出身の脳科学者。世界上位2%のIQ所有者のみが入会を許される「MENSA」に所属し、フランス原子力庁勤務の経験もあるという。本書は、世界で活躍する脳科学者・中野信子氏が世界中で出会ってきた、世界で通用する仕事やコミュニケーションをこなす一流の人たちが実践していることを紹介した、今までにない自己啓発書です。本書を通じて、自分を磨くことをどんどん楽しめる人になってください。


著者プロフィール:

中野信子(なかの・のぶこ)

 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻修了、医学博士。2010年までフランス原子力庁に勤務。世界で上位2%のIQ所持者のみが入会できるMENSAの会員。

 現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている。

 学習法だけにとどまらず、音楽と脳、セックスと脳、コスプレと脳、恋愛と脳、人工知能と脳、言語と脳、香水と脳など、従来にない脳の分析も得意とする


「外見を気にせず中味で勝負」は間違っている

 20代の前半、私は見た目のことで随分不快な思いをしたものでした。当時は「私は絶世の美女というわけでもないし、仕方ないのかな……」とも思っていました。しかし、私の周りにいたそう美人とは言えない人でも外見で好感を持ってもらえるという事実を目にして、「私と何が違うのだろう?」と考え始めました。私が外見で好感が持たれない理由は顔立ちとかではなく、全体的に醸し出す私の雰囲気が相手にとって快いものになっていないのだと推測しました。

 私はただでさえ、東京大学の、しかも理系の女子学生であるということから、先入観として相手の脳内に「怖そう」「やり込められそう」「生意気」「スキがない」というようなキーワードが並んでいたと思います。それに加えて、実際に会ったときの雰囲気まで威圧的だったら、相手が私にいい印象を持てないのも当然ですよね。

 でも、こんな分析をしてみたところで、最初はどうしたらよいかまったく分かりませんでした。きれいな格好をしたりメイクを頑張ったりもしたのですが「もしかして今日、夜のバイトですか?」なんて言われてしまったこともありました……。

外見の印象の悪さで実績は減点されてしまう

 「これはなんとかしなくては!」と、いよいよ焦り始めたのは院試(大学院入試)のときのこと。ある有名国立大学で准教授になった年上の知人が、院試の面接の裏事情をポロッと話してくれたのです。

 「別に皆、研究計画書なんて読んでるわけじゃないんだよね。そもそも『教授』と言ったって、自分の分野のこと以外は分からないんだし。教授たちは、受験してくる女の子が美人だったら、5(満点)を付けるんだよ。受験生の話なんか聞いてない。正直、びっくりしたよ」と。

 これには私も驚きました。どの大学院もそうだとは限りませんが、この話が私が外見を真剣に考えるきっかけとなったのは間違いありません。本当に外見だけで合否が決まるかどうかはさておき、これは人間評価の心理について、真実の一面を物語る事実であると思ったのです。

 運良く院試を突破したとしても、実際に大学院で教授が私の研究を評価するとき、研究内容の良し悪しよりも見た目で評価する傾向があるのではないか? と考え始めたのです。そうなると、外見が与える印象が悪ければいくら研究業績をあげてもその努力は割り引かれてしまいます。

 私は、身長も体重も日本人女性の平均的な体形です。モデルのような長身でスレンダーな美人になることは不可能です。また、顔立ちも特に際立った部分がないので、人気女優のような絶世の美女を目指すというのも無理な話です。

 そんな条件でも「なんとか感じ良くするにはどうすればよいか」と、私は必死に考え始めました。しかしそこで、小ぎれいにしておきたい気持ちのあまり「どこのキャバクラにお勤めですか?」なんて聞かれるようなことがあってはなりません。まして、院試の面接会場にそんな学生が来たら、教授たちは間違いなくその学生を落としてしまうでしょう。

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