企業向けの高度できめ細かいセキュリティ、Androidで実現――ドコモの「SECURITY for Biz」OSレベルで機能強化(2/2 ページ)

» 2013年06月28日 15時18分 公開
[後藤祥子,Business Media 誠]
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暗号化やVPNなどの5項目について端末の仕様を統一

 SECURITY for Bizのもう1つの柱が、法人ニーズの高い機能のサポートだ。

 ドコモは企業のニーズが高い「暗号化」「VPN」「Exchange」「プロキシ」「デジタル証明書」の5つの項目について基本的な仕様を統一化し、2013年夏モデルのスマートフォンやタブレットから、その仕様に準じた端末を出荷しているという。「仕様に沿った1000以上の検証項目を規定し、この検証項目を端末メーカーとドコモのそれぞれで検証した後、端末を出荷する流れに変えた」(有田氏)

 これにより、例えば社内のルータと端末をVPNで接続する場合などに、端末ごとの仕様の違いをいちいち検証する必要がなくなり、導入までの時間や手間を軽減できるようになる。この5項目については、技術資料がWebサイトに公開され、企業の導入担当者が確認できるようにしている。

Photo 2013年夏モデルのスマートフォンやタブレットから、企業のニーズが高い5つの項目について基本的な仕様を統一する

セキュリティは中小企業にとっても重要なものに

 セキュリティ関連のサービスは、導入にあたって一定のコストがかかることから“大企業のもの”と思われがちだが、有田氏によれば、最近では中小企業も関心を持つようになってきたという。

 その理由は、中堅・中小企業が大企業などから仕事を受注する際に、「うちはセキュリティに力を入れている」とアピールすることがウリになるためだと有田氏。「(仕事を発注する)大企業からすると、仕事をアウトソースしたときに情報漏えいが発生したら、発注元の大企業が情報漏えいしたというニュースになるため、こうしたリスクは避けたいと考える。安心して仕事を任せてもらうために、“いかにセキュリティに力を入れているか”を印象づけることが、中堅中小企業のビジネスにつながっていると耳にする」(有田氏)

 ドコモでは、「セキュリティ商材は、今後、下のセグメントに落ちてくる」(同)と見ており、使いやすさを意識したUI開発に注力している。導入・運用のしやすさについても、導入時の設定はITに詳しい人のサポートが必要となるものの、その後の運用は比較的容易に行える製品に仕上げている。今後は導入時の設定をドコモが支援することも検討中だ。

Photo あんしんマネージャーはアイコンを多用した直感的なUIを採用している

Android OSを知りつくした元Googleの開発メンバーが参画

 今回のAndroid OSの機能強化は、ドコモと米BoxTone、米anfactoの3社のパートナーシップで実現している。端末技術を提供した米anfactoは、元Googleに所属していたAndroidの開発メンバーで構成されるデバイス開発のプロ集団で、Android OSの新バージョンがリリースされたり、バージョンアップした場合でも、「今回のようにOSレベルで手を加えた場合、どこを技術的にクリアすればコンフリクトしないのか、問題が起こらないのかを把握している」(有田氏)という。

 Android OSに手を加える形でセキュリティの強化を図った例としては、KDDIが米3LMとの提携で提供した法人向けAndroidサービスの例がある。米anfactoは、米3LMに在籍していたメンバーが設立した会社で、米anfactoは米3LMのベースのソースを使っていることから「根っこは一緒」だと有田氏は説明する。

 ドコモのサービスで異なるのは、管理サービスがスマホとフィーチャーフォンの混在環境で使える点やUI、自動アクティべーションへの対応、運用管理周りなどだという。

Photo セキュリティ強化は米BoxTone、米anfactoとドコモの強力で実現した

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