気遣いをする人ほど、会話の中で「すみません」を連発してしまいがちだが、これでは相手を困らせてしまう。感謝の言葉やお礼の言葉に置き換えるよう意識してみよう。
職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。
本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。
明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。
以前、「変な話」を合間合間に挟み込む人がいた。
「変な話、お客様から連絡をいただいて、変な話、僕が訪問してきたんだけど、打ち合わせの中で、変な話、営業部長が……」
「当社の強みは、変な話、長いお付き合いをいただいているお客様が多く、変な話、リピートオーダーがあることは自負してもいいと思う……」
などなど、なぜか、途中に何度も「変な話」が入る。全然変な話ではないのに。
ある時、彼との打ち合わせを終え、会議室から出て廊下を歩いていると、同席していたあるメンバーが、私にぼそっと言った。
「ねぇ、○○さんと打ち合わせしていると、なんかすごーく“変な話”を聞かされた感じ、してこない?」
同じように感じていたので、「分かるー」と思い切り同意してしまった。
人にはいろいろな言葉の癖がある。人は、自分の言葉の癖には無自覚なものだが、他者のそれには比較的敏感で、気になるものだ。
そういえば、以前、「すんません」が口癖の同僚がいた。
彼からの内線電話は、こんな風に始まる。
「すんません、山口(仮名)ですけど」
電話を切る時も同じだ。
「すんません、それでお願いします。それじゃあ、すんません」 プー、プー、プー……。
もちろん、途中でも「すんません」を連発する。
彼が会議でプレゼンするときも同様だ。
「あ、すんません、山口です。私からは、○○の件を報告させていただきます。すんません」
「以上で、私の発表は終わりです。すんません。」
私だけではなく、他の同僚も気になっていたらしく、時々、誰彼となく「すんませんが多いよ。謝らなくていいよ」と苦笑しながら指摘することもあった。
一日中、あちこちで「すんません」と言っている彼は、非常に気遣いをする人だったので、そういう気持ちの表れではあったのだろう。でも、何度も言われると、こちらもなんとなく恐縮してしまう。「そんなに謝らなくていいから」と思うのだ。「謝らせているわけじゃないのに」と気に病むこともないわけではない。
彼と仕事をしたのはもう何年も前なのに、耳に残るほどの回数だったためか、いまだに、彼の口癖である「すんません」は耳に残っている。
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