文具王が振り返るISOT――小規模ブースのアイデア文具が目立った2013年ISOT 2013(2/2 ページ)

» 2013年07月10日 19時55分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]
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文具王がISOT 2013で見つけた面白文具

 まずは各メディアなどでも取り上げられたBeahouseの「立つノートカバー」。商品自体はノートを開いて置くこともできる脚が付いたユニークなノートカバーだ。このアイデアもそうだが、Beahouseがクラウドファンディングというインターネット上で資金調達をしながら自分のほしい商品を作っているという試みが文具業界の新しい流れの1つとなるか、今後の動向が興味深い。



 同様の意味で、あたぼうの「スライド手帳」にも注目。小規模ブースながらテレビを中心とする大手メディアで取り上げられた。個人規模の小さいメーカーが文房具を作り、それをISOTの場に出すことで大手の販売店に置いてもらう。「個人や中小企業が面白いことをやりやすくなった時代」と文具王は話していた。



 ビバリーのブースにあった鉛筆形の付せん「ココサス」もおすすめ。鉛筆の持ち手部分と先の部分が切り離せる仕組みになっていて、持ち手部分をページの上端などに貼り、先の部分をページ内の該当箇所に貼る、といった使い方ができるアイデア付せんとなっている。通常の付せんだとページの上端に貼るのが多い使い方だが、ココサスであればページを開いてどこに注目したいのかが一目で分かる。



 「めもかん」。丸い缶の中に付せんが入っていて、それを半分に折ると動物が立っているように見えたり耳が飛び出しているように見えるもの。



 ちょっと変わったアイデアグッズでは、ジオのブースにあった豆腐のパッケージに入ったメモ帳やスマホケース。豆腐パッケージに入ったメモ帳は、きちんと「絹」と「木綿」の2種類あり、そのうちよりリアルの豆腐に近いとして人気だった「木綿」については、ノートも新発売されるという。



 海苔巻きのようなタオルや、工作用紙の模様をあしらったやわらか素材のタオルなども。



 今年も存在感があったキングジムのブースでは、ISOT開催の前日(6月25日)に発表をしたA4 三つ折りホルダー「オレッタ」スマホの充電池付ノートカバー「バテリオ」ショットノートの無線綴じタイプタブレット収納ケース「タブリオ」などを展示していた。



 中でも文具王が注目していたのは先ほども紹介したA4の3分1サイズの「オレッタ」。ビジネス標準のA4サイズを入れるだけでコンパクトに収納できる点や、例えば旅行などに行く場合に旅券や必要な書類などをまとめてコンパクトに持ち運べる点がいいとしていた。

 ハリマウスのブースでは、片手でテープを貼れる社名と同名の「ハリマウス」に注目。こちらも小規模ブース内にあったアイデア文具の1つだ。11月発売が楽しみだとしていた。

 LIHIT LAB.は、ダブルリングノートと同様の間隔で止め穴が空いている保存専用のバインダーを出展していた。まだ試作品段階だが、ダブルリングノートを簡単に解体できる工具などもあったという。



 カール事務機もアイデアグッズをいくつか展示していた。ペンケースに入る携帯性の高い穴開けパンチ「Putitto」や、自宅での自炊にも使える折りたたみ機能付きのディスクカッタ―、ケースの中に鍵を入れることで掛けるタイプのものよりも持ち運びに便利な鍵金庫など。「特に昨今のスキャナーによる書籍の電子化ブームなどによる断裁機の普及など、個人が自宅で業務用機器を使用することも増加し、一般家庭に置くことも考慮した設計の製品が登場し始めたのは大きな変化といえるだろう」(文具王)



 文具王がメーカーでがんばっていたと評価したのがソニックだ。学童向けの文具を実用性を持たせながら子供が興味を持つように新製品を丁寧かつ大胆に作っているのだという。クリップやコンパス、鉛筆キャップなど、幅広い文具を展示していた。

 例えば「ラチェッタ」は鉛筆削りにラチェット機構を搭載、一方向にのみ歯が固定されていて鉛筆をさして左右に捻って回すだけで、鉛筆を持ち直すことなく上手に削ることができる。さらにキャップ部分を鉛筆の後ろに差し込むことで短くなった鉛筆も持ちやすくしっかり力を入れて削れるようになっているし、鉛筆キャップの「シュポッチ」は、かたくはまって抜けにくくなった鉛筆も、キャップのボタンを押すことでシュポッ!と簡単に抜ける。便利さだけでなく使うときの動作の面白さまでもしっかりと作り込まれている。


「ラチェッタ」と「シュポッチ」

 コンパスは、針にキャップをかぶせるのではなく、針をノック式にして引っ込めることで安全性を確保。電動の鉛筆削り「キュービー」は、引き出しに入れたまま使えるよう高さをギリギリまで抑えて設計されている。


コンパスと電動の鉛筆削り「キュービー」

 「驚いた」と言いながら紹介してくれたのは、ステッドラーのブースにあったスタイラスとしても使える鉛筆。日本にはない発想の製品だ。子供用だけでなく大人用の高級ラインもある。大人用は導電性を確保するため軸にグラファイトを練り込んだ特殊製法が採用されている。




 以上、いかがだっただろう。今年は例年に比べて新商品が多く、今後これらの文具の発売が楽しみである。

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