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» 2013年07月23日 10時00分 UPDATE

“独立プロフェッショナル”の仕事術:第2回 “専門分野を極める”ための、情報収集術と整理術

みなさんは、仕事に役立つ情報をどのように集め、活用していますか? 今回は、業界情報の収集・整理を効率的に行う方法をご紹介します。

[齊藤孝浩,Business Media 誠]

“独立プロフェッショナル”の仕事術

 「情報収集」「企画」「交渉」など、独りで生き抜くためのプロフェッショナルの技は、組織で働く人にとっても役立つものがたくさんあります。

 本連載では、独立したプロフェッショナルワーカーとして複数の企業と契約を結ぶインディペンデント・コントラクター(IC)が、自ら培った技を、会社組織で活用するためのノウハウにおきかえてご紹介します。


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 コンサルタントとして仕事をしていると、常に専門分野に関する新しい情報を求められるものです。情報や知識やノウハウにも「賞味期限」や「有効期限」がありますから、いかに新しい情報を入手し整理して活用するかの情報の新陳代謝は専門家コンサルタントにとっての生命線です。

 しかし、これはコンサルタントに限らず、客先を担当する営業マンや教育すべき部下を持つ上司にとっても同じことが言えそうです。皆さんは普段、どのように新しい情報を収集し、それを整理・活用していますか?

 今回は、筆者が行っている業界情報の収集・整理方法と活用術の1つをご紹介しましょう。

あらかじめ関心事のカテゴリーを決めておく

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 気になる話題をランダムに収集し、後で整理したらこんなキーワード(共通項)が浮かび上がってきたのでタグ付けする――という情報整理があると思います。しかし、筆者は事前に、これから業界や身の回りで話題になりそうなキーワードをイメージしてカテゴリー(分類基準)設定するところから始めることにしています。

 問題意識もなく、何となく新聞や雑誌やネットニュースを読んでいても、ただ時間だけが過ぎてしまいますし、「へぇー」、「なるほど」と思う記事に出会っても、世間話のネタにしかならないことも多いものです。

 しかし、カテゴリーを決めてアンテナを立てておくと、不思議なことが起こります。新聞や雑誌やページをめくって全体を眺めた瞬間に、ネットメディアであれば見出しを見た途端に、自分が見つけようとしなくても記事の見出しが目に飛び込んできて、記事のほうから「読んでくれ!」と訴えてくるのです。場合によってはもっと小さな本文中に使われている関連キーワード、社名、人名が目に飛び込んでくることすらあります。

 あらかじめカテゴリーを決めておくと、読まなくてよい記事は思い切ってスルーできるので、短時間で多くの新聞や雑誌を効率的に読むことができるというメリットもあります。

 カテゴリーを見直すタイミングは、年の初めか4月ごろが多いでしょうか。ちょうどその頃には、各メディアがこぞって目新しい話題を取り上げ始めますから、新しいキーワードを知るチャンスでもあります。

定期的にリリースされる複数の情報ソース、情報フローに触れる

 アパレル業界で仕事をしている筆者の情報源の1つは、定期的に発行される日経新聞、日経MJ、繊研新聞(業界紙)などの新聞や週刊および月刊のビジネス誌です。

 業界の関心事であれば、同じニュースが複数のメディアに取り上げられることも少なくありません。元は同じ報道なので、どれか1つを読んでおけば済むかもしれませんが、筆者は、複数紙の記者の論調やアプローチの違いに着目することにしています。

 そうすることによって、同じ情報を違った角度から見ることができ、複数の考え方に触れることができます。それらに対して、自分はどのアプローチを支持するかと考えることによって自分なりの考え方を整理できるのです。

記事をスクラップしてカテゴリー別にためておく

 記事に目を通している中で、使えそうなフレーズ、数字、参考になりそうな視点を含む記事は、迷わず、日付とメディア名を記入してペーパーカッターで記事をカットし手帳に挟み込みます。セイフティマジックカッター(デンマーク製、315円)は、筆者の必須ビジネスアイテムの1つです。カットした記事は、事務所に戻った時に、A4コピー紙の裏紙に貼り付け、カテゴリーを記入してカテゴリー別クリアファイルに入れます。

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欧米のデザイナーに学んだ情報整理術

 実はこれらの手法は、もともと筆者が商社アパレル部門に勤務している時代に付き合ったイタリア、アメリカ、スウェーデンの複数のファッションデザイナーチームがアトリエで共通して行っていたことから学んだ手法です。

 各デザインチームは毎シーズンごとに、具体的な商品企画に入る前に複数のシーズンテーマを決めるところから始めます。チームで話し合って決めたシーズンテーマ1つにつきドキュメントボックスを1つ用意し、窓際の明るい場所にある腰の高さくらいの棚に並べて置いておきます。

 実際の商品企画がスタートするまで、デザインチームのメンバーは日ごろ気になった記事、雑誌、クラブイベントのフライヤー、街で見かけた気になる風景の写真などを思い思いに、関連するテーマのドキュメントボックスに次々に放り込んでいきます。

 商品企画がスタートする直前に、これらのドキュメントボックスに入った資料をデザインチーム全員で意見を交換しながら整理して、シーズンテーマのコンセプトマップを作成する際の資料として活用します。商品企画を始める前に、チームのメンバーが互いに考えていることを目に見えるもので共有できるいい方法だと思ったものです。

 筆者はこれらのデザイナーたちの情報分類・整理方法に感心し、会社勤務時代から、新聞や雑誌のスクラップとクリアファイルへのファイリングを始めました。

 ファイルした新聞記事は、サラリーマン時代には部下の育成のための社内回覧やミーティング資料、取引先幹部との情報交換に活用していました。現在ではソーシャルメディア(特にブログとツイッター)に自分の専門家としての意見を発信(アウトプット)する際の重要なトリガー(きっかけ)の1つになっています。

※ファッション流通業界の仕事術に興味がある方は、拙著「人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識」(中公新書ラクレ)の巻末付録についている「ファッション業界で学んだ仕事術」をお読み下さい。

著者プロフィール:齊藤孝浩(さいとうたかひろ)

齊藤孝浩

 2004年にインディペンデント・コントラクターとして独立。インディペンデント・コントラクター協会理事。グローバルなアパレル商品調達からローカルな店舗運営まで、ファッション業界で豊富な実務経験を持つファッション流通コンサルタント。

 商社、輸入卸、アパレル専門店などの業務で在庫過多に泣かされた実体験をバネに、ファッション専門店の在庫最適化のための在庫コントロールの独自ノウハウを体系化。成長段階にある新興企業からのコンサル依頼が絶えず、これまでに約20社の業界注目企業を支援し、うち3事業の年商100億円突破に携わる。

 現在、ユニクロ、ZARA、H & MのようなSPA(アパレル製造小売業)型企業に特化した在庫運用実践支援コンサルティング、ビジネスコーチングで活躍中。



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