CardMinderを使ってみて感じたのは、やはりOCRには限界があるということだ。そこで、オペレーターの手入力で名刺の情報をテキスト化してくれる“人力OCR”名刺管理サービス「Eight」の力を借りることした。
Eightは、Sansanの提供する名刺管理サービスである。専用のスマートフォンアプリで1枚1枚撮影した名刺の画像をEightのサーバに送信すると、Eightのオペレーターが名刺に記載された氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどの情報を人力でデジタルデータ化する。データ化した名刺情報はPCやスマートフォンのアプリで確認できる。
SansanがEightのリリース当初から提供している、スマートフォンアプリを通じて名刺画像をアップロードできる機能に加え、β版ながらドキュメントスキャナ「ScanSnapシリーズ」を使って名刺画像のアップロードができるようになった。それが、EightScanである。詳しくは以下の記事を参照頂きたい。
つまりEightは、β版ながらScanSnapシリーズのスキャナに対応している。動作確認機種は、ScanSnap iX500とS1500、S500(2007年2月10日で販売終了したモデル)である。スキャナの方式が大幅に違うので不安ではあるが、SV600でも使えるか取りあえずやってみることにした。
設定の大きな流れは上記記事と変わらないので省略し、違いのあるところを中心に、主な画面と操作の流れを紹介する。
上記画像を見て、10枚の名刺をスキャンしたはずなのにEight Scanのアップロード画面に5枚しか表示されていないのに気付いただろうか?
実はSV600が従来のScanSnapシリーズと大きく異なるスタイルのスキャナであるために起きた現象だと思われる。現状のEight Scan β版は、シートスキャナから名刺両面の画像データを受け取る前提でプログラミングされているようだ。つまり10枚のうち、偶数番目の画像を名刺の裏面の画像として扱い、捨ててしまう。ScanSnap Managerの設定を変更し、調整しようとしてもうまくいかなかった。
そこで背景マット上の名刺をそのままに、最初の1枚だけ取り除いてもう1度スキャンを試みた。以下画像がその結果である。
こうして2回目のスキャンでは、1回目のスキャンで捨てられてしまった偶数番目の名刺が奇数番目の名刺として追加で読み込めた。Eight Scanのアップロード画面の名刺画像には、めでたく10枚全部がそろった。
すなわち、対応機種ではないSV600でも本当にわずかな手間と工夫できちんと10枚までの(ほぼ)一括名刺スキャンができたことになる(2回スキャンしたので「“ほぼ”一括」とした)
この後、EightScanの画面で10枚の名刺の画像をアップロードすれば、それ以降は通常のEightの利用方法になる。
筆者の場合、20枚ほどの名刺をこの方法でEightに送信し、2〜3日で名刺管理サービスEightで利用可能になった。最近はやや利用者が増えたことで変換までの時間が少し通常よりも掛かっているというが、この程度ならデータが登録されるまでの時間は、私には許容範囲だと思う。
そしてやはり、人力OCRの威力は抜群である。OCR処理後の修正作業がほとんどいらないので、データベースに登録され次第、すぐに活用できる。
しかもEight本来のもう1つの特徴、FacebookやGmail連携の機能で登録した知人とリンクできる。知人がEightユーザーなら、名刺を更新するたびにそれが通知され、お互いに最新の名刺情報を共有し続けられるのだ。
これなら、名刺管理も長続きしそうだ。
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