アナログ時代を生きた40代上司は、なぜ意味のない書類を提出させるのかひといくNow!―人材育成の今とこれから―(2/3 ページ)

» 2013年07月25日 11時30分 公開
[原田 由美子,Business Media 誠]
誠ブログ

刷り込まれた価値観

 書類作成の方法が手書きからワープロ、PCへ移行する中で、私達に刷り込まれた価値観がありました。

 それは「データ至上主義」的発想です。私の場合は、PCの普及とともに波及されるメッセージから、次のようなイメージを受け取っていました。

 「データを集めた者が勝者だ」

 「データから仮説を立てた者が市場を支配できる」

 また2000年前後に活躍したビジネスコンサルタントのような人達が、データから時代の流れを読み解いていたのを見て、何となく「かっこいい」と思っていたところもあります。その人達の言っていたことが何だったかはさっぱり覚えていませんが、データを見て、シャープな分析をしているらしい雰囲気にあこがれていたのかもしれません。

 そのような時代を過ごす中で、無意識に「データ(情報)はたくさん持っていたい」と感じる自分がいるように思います。そして今では「データ(情報)を持っていると安心」という心理があることも否めません。

 このような価値観は個人差があると思いますが、同世代の管理職や身の周りに居る人を見ると、似たような価値観を持っている人の割合は多そうです。

失われた価値観

 手書き→ワープロ→PCへ移行する中で、私達から失われた価値観もありました。それは、対面で情報収集することです。

 ワープロまでの時代は、ちょっとしたことでも本人に伝えに行ったり、聞きに行ったりしていました。その過程ではちょっと苦手な人がいても、会わなければ話が進みません。そのため、どうしたら相手から必要な情報が得られるか、あるいはこちらの意向が伝わるか、考えながら人と接していました。

 しかしメールを活用し、情報が1対多で一斉に配信されるようになると、1人1人と接していたときとは異なる仕事の進め方に変わります。結果、1人1人への情報の伝え方や情報の引き出し方といった、対面での情報収集技術を磨く場が減りました。

意味のない書類を提出させるワケ

 紹介したような時代の経緯から、私達40代が意味のない書類を提出させるワケとして、次の2つのことが言えそうです。

  1. 大量の書類(文書、情報、データ)を持っていると安心
  2. 対面で情報収集すれば済むことも、書類(文書、情報、データ)で得る習慣

 この2つは、あくまで仮説です。なので、このように考えると「対応策が考えやすくなる」と、思ってうけとめていただけるとありがたいです。

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