あなたは自分の給料がどうやって決まっているかを知っていますか? 実際、即答できる人は少ないだろうと思います。今回は3つの仮説を立て、それを検証してみましょう。
本連載は、木暮太一氏著、書籍『ずっと「安月給」の人の思考法』(アスコム刊)から一部抜粋、編集しています。
給料の上がる人と上がらない人は何が違うのか。そもそも給料とはどうやって決まるのか。で、どうすれば給料は上がるのだろうか。
「年功序列は悪!」と考えている、「生産性が上がれば、給料も上がる」と期待している、「チャンスはいつまでもある」と思っている、就業規則を読んだことがない、「会社の経費で落ちるか」をいつも気にしている、「人は見かけが9割」を理解していない。
そんな全国のサラリーマンに贈る本書には、いつまでも薄給の「あの人」みたいにならない思考のヒントが満載です。
ベストセラー『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(星海社新書)の著者である木暮太一が、1年の歳月をかけて完成させた渾身の1冊。
木暮太一(こぐれ・たいち)
経済入門書作家、経済ジャーナリスト。
慶應義塾大学 経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。学生時代から難しいことを簡単に説明することに定評があり、大学在学中に自作した経済学の解説本が学内で爆発的にヒット。現在も経済学部の必読書としてロングセラーに。
相手の目線に立った話し方・伝え方が「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・大学・団体向けに多くの講演活動を行っている。
『今までで一番やさしい経済の教科書』(ダイヤモンド社)、『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』(光文社新書)、『カイジ「命より重い!」お金の話』(サンマーク出版)など著書多数、累計80万部。
以前、ファイナンシャルプランナーの人が書いた本を読みました。そこには「給料は、自分が稼いだ付加価値の3分の1くらいが妥当」と書いてありました。「自分が稼いだ付加価値」とは、自分が働いて稼いだ粗利益(売上−原価)のことです。この3分の1が自分の給料として妥当な金額ということでした。
これにはどうも納得がいきません。どういう理屈なのかその先を読みましたが、その根拠は書いてありませんでした。
考えてみると「自分が稼いだ付加価値(粗利益)」がいくらかなんて、分かるわけがありません。会社にはいろいろな仕事があり、いろいろな人がさまざまな形で仕事に関係しています。たとえ自分が営業担当で、お客さんに100万円の商品を売ってきたとしても、それは自分だけの功績ではありません。
上司が戦略を立てたから、自分はそのクライアントに営業に出かけることができるのです。経理が伝票の処理をしてくれるから営業活動に専念できるし、法務がリスクを回避してくれているから仕事ができるのです。
では伺います。あなたが100万円の商品を売ったら、あなたはいくらの粗利益を稼いだことになるのでしょうか? 分かるはずがありませんね。
さきほどの「付加価値の3分の1」とは、経営上「その会社の粗利益の3分の1程度に人件費が収まっていることが好ましい」という考えからきているかもしれません(人件費の望ましい水準が粗利益の3分の1程度かどうかは、議論の余地が残りますが)。
ただ、そうなると「粗利益が少なければ人件費も少ないのが妥当」となります。もちろん、経営者からすれば「妥当」でしょうが、従業員視点で通じる話ではありません。利益が出ていなければ給料を払わなくてもいい、ということになってしまうのですから。
このほかにも「このように給料が決まっているのでは?」という仮説がいくつかあります。自分たちが決めているにもかかわらず、「仮説」というのも変な話ですが、ひとまずその「仮説」を検証してみます。
主に語られている仮説は「労働力の需要・供給バランス説」「ロイヤリティ説」「技能習熟説」の3つです。
では、どのような内容か、具体的に見ていきましょう。
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