「不格好経営」――DeNA南場智子氏、ゴールを追える人材こそがグローバル企業家に聞く:南場智子氏【後編】(4/4 ページ)

» 2013年07月31日 11時10分 公開
[まつもとあつし,Business Media 誠]
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南場氏そしてDeNAの今後

まつもと ご主人が回復されDeNAに復帰した南場さんとお話しして、以前と変わらず、もしかするとこれまで以上に精力的に事業に取り組んで行こうとされていることが伝わってきます。

南場 取締役会などの意思決定に関わっていくのは当然のことですが、それ以外にも守安(現社長)と相談の上、いくつか役割を担っています。社内に対しては、今日お話した「DeNAイズム(魂)」を伝えていきたいと思います。。また社外に対する尊敬と感謝の大切さを全社員に説いていきたいですね。創業者として、それが重要な役割だと考えています。

 対外的には、他の業界とつながりを作ったり、大手企業とのアライアンスの機会も増やしていきたいと思います。採用活動の企画、戦略作りという部分でも戦力に数えられています。昨日もマネジャー合宿にも参加したり、週末自宅に社員を招いて飲んだりもしてますよ(笑)

まつもと 社員と膝詰めで話したり、プロジェクトに参加して刺激を与える、というのが南場さんのスタイルだと思うのですが、なかなかベンチャーでもそうできないケースも多いです。

南場 組織が大きくなってきて「平等に出来なくなるくらいなら、止めてしまおう」という判断がされることもあると思うのですが、ウチの場合はできる限りやろう、と。社長や創業者が出来ないレベルでも、各チームがいわば創業時のDeNAくらいの規模なわけですから、そこではそれぞれしっかりやってもらおうと思っています。

まつもと 南場さん自身、今回話して頂いたようなベンチャー育成の環境作りとか、あるいはもう一度小さな組織で新しい分野に挑戦するといったお考えはありませんか?

南場 将来はあるかも知れませんが、今はDeNAの夢の実現、ゴールの達成――本では「グーグル越え」という表現を使っていますが――つまり世界でナンバーワンになる目標に向かって、私が1番有効に機能していくことをやっていきたいと思います。

まつもと 分かりました。最後に本誌「Business Media 誠」や「誠 Biz.ID」の読者に向けたメッセージをお願いします。

南場 あまり格好良くない出来事も交えて本にまとめたのは、私自身あまり「アドバイス」って得意じゃないという自覚があるからです。これはあくまで私の視点からの経験談ですが、DeNAについて知ってもらって、その過程を失敗も含めて追体験してもらうことで「1点にエネルギーを集中して、すごい仲間と仕事をすることの楽しさ」を伝えたかったというのはありますね。「ベンチャーは楽しいよ、DeNAは今も熱いよ!」と(笑)。


 いかがだっただろうか? 筆者のように90年代からネット界隈と向き合ってきた者からすると、リアルタイムでその変化を目の当たりにしてきた。若い読者にとってはDeNAはソーシャルゲームの会社というイメージしかなかったかもしれない。しかし、『不格好経営―チームDeNAの挑戦』を読めば南場氏のユーモアも交えた文章で、ここに至る平たんではない道のりと共に、そもそもベンチャーとは何か、その大変さと同時にある楽しさという本質的なポイントもごく自然につかめるはずだ。

 この夏、働き方、キャリアの作り方を改めて考えるにも最適な1冊だといえるだろう。

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