聞く耳を持ってもらうために、まずは徹底して人の話を聞くあなたの話の9割は相手に伝わっていません(1/2 ページ)

実際に話すときは堂々と発言するのが理想的だが、それはなかなか難しい。まずは好印象を与えて、聞く耳を持ってもらうことからはじめたい。そのためのステップを紹介しよう。

» 2013年08月02日 11時00分 公開
[松本幸夫,Business Media 誠]

集中連載「あなたの話の9割は相手に伝わっていません」について

本連載は、松本幸夫氏著、書籍『あなたの話の9割は相手に伝わっていません』(アスコム刊)から一部抜粋、編集しています。

「自分が思うのと、全然違うかたちで伝わってしまっていた」「丁寧に話しているつもりなのに、相手を怒らせてしまった……」そんな経験は、誰でも1度はあるのではないだろうか。

実は、その原因の多くは相手にあるのではなく、自分自身が作ってしまっているのだ。そういう人はこれからも相手を怒らせたり、自分の言いたいことを伝えることができないままだろう。

本書では「相手に伝わらない」あるいは「相手を怒らせる」などの、伝わる話し方ができない人の問題点を指摘し、具体的にどんな言葉で話せばいいのかなど、今すぐに簡単に出来る改善策を詳しく解説。話し方で損をしてきたと悩んでいる人、また、相手にもっと気に入られたいと思う人にも役に立つ1冊だ。


著者プロフィール:

松本幸夫(まつもと・ゆきお)

執筆とセミナーでの講義をメインに活動するコンサルタント。スピーチドクター、NPO法人認定日本プレゼンテーション協会認定マスタープレゼンターの肩書きも持つ。NHK、その他テレビへの出演実績多数。

セミナーは好評で、全国で年間200回以上も行う。リピート率は高く、92%を超えている。

話し方以外のメソッドも定評があり「最短でできる人をつくる」をモットーとして、人材育成をはじめ、タイムマネジメント、交渉、プレゼンテーション、営業術など、さまざまな分野の研修や執筆活動を行っている。


聞く耳を持ってもらうために、まずは徹底して人の話を聞く

 実際に話す際には、一気に堂々とスラスラ発言していくのが理想だが、それはなかなか難しいだろう。もちろん、ここに書いたことを実行に移していけば最終的にはそうなれるのだが、そのためのステップがある。

 まずは好印象を持ってもらい、高評価を得ることから始めたい。これをするだけで聞く耳を持ってもらえる。すると、相手は自分の話をちゃんと、かつ前向きな気持ちで聞いてくれる。思わぬ誤解を防げるようになるのだ。また、雰囲気が良くなるので気持ちよく話すことができる。まさにいいこと尽くめだ。

 そこで、発言回数は控えめにする分「積極的に、徹底的に」他の人の発言をチェックしよう。つまり、いつも以上に聞くことを徹底する。

 そして聞いていくなかで、発言者の言いたい内容をまとめていく。可能なら1行にするくらいに要約してみる。その要約にひと言だけ自分の意見をくっつけて言う。例えば、

「先の田中課長の発言では、新機種導入の可能性が強調されました。次の石川係長は、費用効果についてデータが詳しく出されました。私は、時期をいつにするかさえ決まれば今回の導入には賛成です」

 なんのことはない、ただ賛成なのだが、前の2人の発言をくっつけているところがポイントだ。

 メリットは、他人の話をまとめただけでも「頭がいい」という印象となる。また、引用された2人も、自分の名前が出されたことにより発言者に対して好意を持ってくれるものだ。これは、すぐにでも実行することをお勧めする。

 これは討論番組などを見ているとよく分かる。特に「先生」付きで引用されると、その意見には頭から反対しにくいのである。

「山田先生のご意見はとても現実味があると思います。私としてはそれに加えて……」

 というように、話を要約するに至らなくても“名前を出す”だけで、賛同者を増やすテクニックとして有効である。

 まず、あなた自身の意見を出そうとするよりは、他人の発言のポイントをまとめていくという癖をつけよう。これは、会議などの発言ばかりでなく、上司や部下との1対1の会話でも同じように使える。

 仮に部下から相談を受けたとしよう。まずはよく聞くこと。そして、聞きながら部下の話を頭の中でまとめておくのである。

「あのー、課長。じつはお話ししたいことがありまして。えー、私ども開発としましては……、そのー、営業との関係が、あー……」

とわけの分からないまとまりのない話でも、よく聞くようにするのである。そして、あなたはそれを要約してまとめて、確認をする。

「つまり、開発と営業のコミュニケーションがよくない、ということだね」

と「1行」でまとめるようにする。長々とした話を「1行でまとめる」ことによって、「この人は冴えているね」「論理的に考えている」と思われ、結果として信頼を得ることができるのだ。

 なお、相手の発言をさらっとまとめるのに有効なのが「要するに○○ですね」を口癖にしてしまおうというもの。

 テレビを見ているときに、討論や対話などをよく聞いてひとりで「要するに、今は時期が早いということですね」「要するに、女性の能力が高いわけですね」「要するに、可能性は低いというわけですか」というように、ひとりでツッコミを入れる練習をしてみよう。

 日ごろから癖をつけておくことで、イザというときにスラスラと要約できるようになる。

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