「会社の経費で落ちるか」を気にしていると、自分に投資ができなくなるずっと「安月給」の人の思考法(2/2 ページ)

» 2013年08月27日 11時00分 公開
[木暮太一,Business Media 誠]
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安月給の思考法8.「人は見かけが9割」を理解していない

『ずっと「安月給」の人の思考法』(アスコム)

 仕事で重要なのは中身です。アイドルやモデルではないので、外見であなたの査定が決まることはほぼありません。

 しかし、「外見はどうでもいい」「外見はまったく関係ない」ということではありません。かつてのベストセラーにあったように、むしろ「人は見かけが9割」なのです。

 「メラビアンの法則」というのをご存じでしょうか? これは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが唱えた法則で、話し手が聞き手に対して与える影響力の強さを「言葉」「声」「態度」の3つの要素別に示したものです。つまり、3つのうち、どの要素から影響を強く受けるか、です。

  • 怒った顔をして「ありがとう」と言う
  • 自信なさげに「大丈夫です。問題ありません」と言う

 など、「言葉」「声」「態度」で矛盾した情報を与えられたとき、聞き手はどの情報を優先して受け止めるか(内容を理解するか)について、このメラビアンの実験で明らかになりました。その結果がこれです。

  • 視覚情報(見た目/表情/しぐさ/視線等)が55%
  • 聴覚情報(声の質/話す速さ/声の大きさ/口調等)が38%
  • 言語情報(言葉そのものの意味/話の内容等)が7%

 つまり、あなたが「ありがとうございます」と言ったとしても、声のトーンや態度が「ありがとう」を表現していなければ、あなたの感謝は7%しか伝わらないということです。もしも態度がぞんざいであれば、何を話していても「そういう人」に見られてしまうということなのです。

 先日、ある企業が主催しているセミナーに参加しました。このセミナーは無料で、その会社が見込み客集めのために行っていたものです。とても注目度が高い内容だったため、300人を超える人が参加していました。主催者としては期待以上の集客だったでしょう。

 僕もセミナー内容をとても楽しみにしていた1人で、セミナーを聞く前から個別の依頼をすることを検討していました。ところが、セミナー開始前に気持ちが変わりました。セミナー開始前に事業責任者が挨拶をしましたが、この人が信頼できる人間に見えなかったからです。

 彼はマイクを親指と人差し指の2本で持ち、歌手の松山千春さんのようにアゴにつけ、腕を組みながら挨拶をしました。上場企業が数十万円、場合によっては数百万円の商品をアピールする場としては明らかに礼を欠いていて、顧客を前にとる行為ではありませんでした。セミナーの内容は満足のいくもので新しい発見もたくさんありましたが、この「事業責任者」の第一印象を覆すことができず、終了後、僕は名刺交換もせずに帰ってきました。

 同じことでも、それをだれから言われるかによって、納得したりしなかったりします。

 同じ商品を提案されても、相手を信頼しているかどうかで買ったり買わなかったりします。長い付き合いであれば、相手は外見以外から「本当のあなた」を見つけてくれるでしょう。しかし、ビジネスの場では、それほど長い付き合いに発展できるケースは少ないです。また当然「新規顧客」とは、初めて会うわけです。

 「いやぁ、長く付き合ってもらえば、自分のよさが分かると思うんで」と考えていたとしても、相手はそう思いません。第一印象で「信頼できない」「自分とは合わない」と感じた相手と、次も無理して会う可能性は低いのです。

 ビジネスは中身が大事です。しかし、「見かけ」をないがしろにする人は、中身がいいということを信じてもらえないのです。

安月給の人の8つの思考法 まとめ

7.「会社の経費で落ちるか」をいつも気にしている

8.「人は見かけが9割」を理解していない



(次回は、「給料よりも大切なもの」について)

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