「ポジティブの押し売り」していませんか?ボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/2 ページ)

仕事でネガティブな状況に追い込まれている同僚がいたとき、なんとか勇気付けてあげようと声をかけることもあるでしょう。しかし良かれと思って発したその一言が、余計に相手を傷つけ、やる気を削いでしまう場合があるのです。

» 2013年09月26日 10時00分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(ベストブック)がある。

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 私が起業したてのころ、仕事の成果が思うように出なかったことがあります。自分ができる限りことは一生懸命やりました。けれども、なかなか成果が出ません。起業の準備金として貯めていたお金は経費や生活費に消え、預金残高は見事に減っていきました。

 「あ〜、どうしよう。もう後がない……」

 完全に行き詰った私は、私のメンターの1人である経営コンサルタントのSさんにメールを送ることにしました。「○○さん、これまでできることは一生懸命やりました。けれども、全然成果が出ません。もう苦しくて苦しくて。これから何をしたらいいのかも分からなくなってしまいました」

 しばらくすると、Sさんからメールの返事がきました。その内容を見た瞬間、今まで落ち込んでいた私の気持ちは一瞬で切り替わり、「よし、もう少し頑張ってみよう」……そう思えるようになったのです。

 あなたの職場にも、仕事でネガティブな状況に追い込まれている同僚や部下がいませんか? そんなとき、なんとか勇気付けてあげようと、声をかけることもあるでしょう。けれども、相手を勇気付けようと思ったその一言が余計に相手を傷つけ、やる気を削いでしまう場合があります。

 そこで今日は、ネガティブな状況に追い込まれている同僚や部下を前向きにリードする言葉のかけ方についてお話しましょう。

意外と嫌な「ポジティブの押し売り」

 ネガティブな状況に追い込まれているとき、意外と嫌な気分になるのが「ポジティブの押し売り」です。

 「ポジティブの押し売り」とは、「もっとポジティブに考えるべきだ」「もっと前向きにならなきゃダメだよ」というような言葉をかけられること。

 ただでさえ落ち込み気味なのに、「それじゃダメだ」と否定されると、なんとなく人格自体を否定されているように感じます。また、「そんなにポジティブ、ポジティブ言わんでもいいだろう」という気持ちにもなります。

 また、「もっとポジティブに考えるべきだ」という言葉の裏には、「(あなたはネガティブだから)もっとポジティブに考えるべきだ」という意味が暗に隠されています。「あなたはネガティブだね」といわれて、あまりうれしい人はいません。

 つまり、「ポジティブの押し売り」は相手を傷つけてしまうのです。

 とは言え、相手をポジティブにリードするのは大切なこと。それなら、「そんなことではダメだ」と相手を否定するのではなく、使う言葉自体もポジティブにしたいところです。

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