「ポジティブの押し売り」していませんか?ボクの不安が「働く力」に変わるとき(2/2 ページ)

» 2013年09月26日 10時00分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]
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同僚や部下をポジティブにリードするための2ステップ

 例えば顧客の前で新しい企画をプレゼンした部下がプレゼンに失敗し、デスクの前で肩を落として落ち込んでいるとします。あなたなら、この部下にどのような声をかけるでしょうか。

 「ドンマイドンマイ。そのぐらいのミスは誰でも経験することだよ」

 「次を目指して、もっと前向きに行こうよ」

 このような感じかもしれません。

 ネガティブな状況に追い込まれている同僚や部下を前向きにリードするためには、シンプルな法則があります。それは、「合わせる」+「リードする」です。

相手の状態に「合わせる」

 最初のステップは、「相手の状態に合わせる」です。「相手の状態に合わせる」とは、同僚や部下がどのような思いを抱いているかに思いを寄せ、感じているであろう言葉をかけます。

 例えばプレゼンに失敗した部下の例なら、大概、悔しさや後悔の念を抱いているはずです。そこで「悔しいね」「つらいね」「一生懸命頑張ったのにね」のような言葉をかけてみましょう。相手に状態に合わせることで、「そう、そうなんです」という共感が生まれ、相手に寄り添うことになるとともに、相手をねぎらうことにつながります。

 また相手の状態に合わせていくと、相手のくやしさやつらさが伝わってきて、一体になる感覚を抱くこともあります。前向きにリードする前にこのような状態を作ることで、同僚や部下は「この人は私のことを分かってくれている」「親身になって考えてくれている」という気持ちになるのです。

相手を前向きに「リードする」

 前向きにリードするときは、「ドンマイ」「頑張ろう」などの直接的な言葉をかけるのもいいですが、「その体験が他にどんなところに役立つか」「見方を変えると、どんな意味を付けられるか」を考えて伝えるとより効果的です。

 ここで便利なのは、相手のネガティブな体験の後に「おかげで」「だからこそ」という言葉をつなげて考えてみること。例えば、

 「今回の体験のおかげで……」

 「今回の体験があるからこそ……」

 のようにです。

 「今回の体験のおかげで、プレゼンで大切なことが学べたね」「今回の体験があるからこそ、人に伝わるプレゼンができるようになるんじゃないかな」というようにすることで、失敗だと思っていた体験にも意味があること、それを生かすからこそ、新しい未来が生まれるんだというメッセージを伝えられます。

 「おかげで」「だからこそ」――。便利なので試してみてください。


 起業したてで仕事が思う通りの成果が出なかったとき、メンターの経営コンサルタントに送った泣き言メール。その返信には次のような言葉が添えられていました。

 「迷うね。成功者がたどる一歩ですね」

 私はこの一言で、意識が一瞬で前向きに変わりました。だって、迷っているのは成功者への一歩なんですから。この一言には本当に勇気づけられました。私もこんな気の利いた一言が言えるようになりたいです。

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