5年目のEvernoteは「デザイン」「シンプル」で挑戦し続ける100年スタートアップ企業が目指すもの(2/2 ページ)

» 2013年10月02日 12時00分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]
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ユーザーの66%がEvernoteを仕事で使っている

 2012年12月に投入したビジネス版「Evernote Business」も近日中にアップデートを加える予定だ。

 Evernoteの世界7500万ユーザーのうち、約66%の人が仕事で使っているという。フィル氏は「ユーザーはビジネスパーソンでもあり、いち消費者でもある。プライベートで使っているいいツールを、仕事にも使いたい、そう思っているはずだ。しかし会社の業務ツールはデザインもよくないし、いけてない。我慢してしょうがなく使っている。だからEvernote Businessはその点を意識して構築している」と説明した。

 リリースから約9カ月。Evernote Businessは8000を超える企業で使われている。個人のアカウントとビジネスのアカウントをうまく使い分けて、仲間といい使い方ができる、そんなツールとして使ってほしいという。

 加えて、顧客管理サービス「Salesforce」と連係する「Evernote for Salesforce」についても触れた。Evernote Businessを経由して、Salesforceに顧客情報を送れるというものだ。この詳細は、2013年10月9〜11日に東京ビッグサイトで開催される「ITpro EXPO 2013」の中でも紹介するとしていた。

アプリのその先にあるもの

 最後に、オンラインショップ「Evernoteマーケット」を立ち上げた経緯を話した。そもそもEvernoteは「外部脳を世界中の人に提供してよりスマートな仕事をしてもらう」ことをコンセプトとしていた。しかし成長を続ける中で、アプリを超えてその先にあるものを目指すこととした。それがナレッジワーカーが必ず使うモノを提供することだ。

 いくらデジタル化が進んでも、紙はなくならないし、ビジネスパーソンは仕事に必要な文具などあらゆるモノを求めている。そしてそれをEvernoteが提供するには、パートナー企業との協力が必要だった。

 1つは、adonitとの協業で生まれたスタイラスペン。約1年の制作期間を経て、adonitのハードウェア技術とEvernoteのソフトウェア技術を融合し、作ったという。出荷開始は10月だが、米国では発表から2日で非常に多くの注文がきているようだ。

「デザイン」「使いやすさ」を追求したスタイラス

 フィル氏は、「モレスキンとの協業で学んだのは、ペーパーレスはゴールじゃないということ。いくらデジタルツールが普及しても、その提供企業でさえも周りを見渡すと毎日紙を使っている。だから紙をなくすのではなく、紙を使った嫌な経験をなくしていく。紙を使ったいい経験を増やしていきたい」と話す。その流れで、新しいパートナーに選んだのが、ポストイットを提供する3Mだ。

ポストイットは誰でも説明書なしに使える「シンプル」さ兼ね備えたヒーローだと紹介した

 Evernoteをいかにシンプルにするかを考えていく中で、1つのヒーロー製品があると気付いた。それがポストイットだったという。ポストイットは何億人もの人がトレーニングなしでも使い方が瞬時に分かる付せんで、かつ世界では110年、日本では50年の歴史がある老舗商品。まさに100年続く企業を目指すEvernoteが学ぶべきところも多く、今回のパートナーシップは非常にうれしく思っているとフィル氏は話した。

 そのほか、「Evernoteマーケット」ではロゴ入りTシャツや鞄、財布、ポスターなども販売する。商品開発には、ひらくPCバッグなどを発売しているバリューイノベーションも加わっており、世界展開を視野に入れた商品開発を今後も行っていくとしていた。

フィル・リービン氏とバリューイノベーション代表取締役の南和繁氏

 以下、都内で行われた発表会で紹介された商品の一部を画像で紹介する。

EvernoteオリジナルTシャツ
ポストイット。Evernoteのアプリで撮影すると自動で画像認識、補正をしてくれるというもの。専用のポストイットを使うことで、自動でタグ付けして状態でEvernoteに手書きメモを送れる
モレスキンとのコラボ商品。2013年はスケッチブックタイプも登場
Scansnap


スタイラス
かばん
水稲
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