Googleの成功はモンテッソーリ教育なしには語れないトップ1%だけが実践している集中力メソッド(2/3 ページ)

» 2013年10月16日 09時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

「自律」にインセンティブは逆効果

 ところが、私たちを取り巻く環境はかならずしも「自律」と「集中」を強化するようなものではありません。むしろ、報酬、評価、罰則といった当たり前のルールや規定は「自律」と「集中」に対して逆効果であるとさえ言われています。ここで、有名なエドワード・デシのパズルの実験を紹介しましょう。

 デシは、2つのグループにパズルを解かせる実験を行いました。一方は、純粋にパズルを楽しませます。もう一方には、報酬を与えます。そして、デシは休憩時間に彼らが何をやっているのかをマジック・ミラー越しに観察しました。パズルを純粋に楽しんでいたグループは休み時間もパズルに没頭しました。しかし、報酬を与えられたグループは見向きもせず、雑誌を読んだり、ほかのことに注意が散漫になったりしたのでした。

 「パズルを解く」=「問題を解決する」と読みかえれば、仕事を自ら進んで楽しくやるグループがいる一方で、報酬=仕事となってしまうと、モチベーション(自己動機づけ)は極端に下がってしまうことになります。

 デシは、その後の実験で、モチベーションが下がるだけでなく報酬を与えることで生産性が逆に下がってしまう事象や、報酬と同様に成績の評価やうまくいかなかったときの罰則も同様にモチベーション&生産性を下げてしまうことを発見したのです。

 報酬や罰則は一時的には効果があります。しかし、報酬や罰則は、長期に効果を持続させることはできません。いったん報酬が行動のトリガーとなると、さらなる報酬を与え続けなければ行動できなくなるのです。「自律」とは真逆です。

デシの自己決定理論によれば、自己動機付けを高めるためには3つの要素が重要だという。それは、自らの価値観や興味に基づいて選択し、行動すること。そして、それによって自分ができるという自信、他者とつながっているという実感を持てること。この3つの要素が自分のやる気に火を付けるのです。

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