iPadを使った営業改革のための4つの導入効果と11の検討ポイント価値と信用を高める自分軸入門(1/3 ページ)

先日、iPadの導入に成功している会社を取材してきた。A社がなぜ成功できたのか、具体的にどのようなステップを踏んだのか。実際の導入事例をベースにポイントをまとめた。

» 2013年10月21日 09時00分 公開
[森川滋之,Business Media 誠]
誠ブログ

 iPadを使ってかっこよく営業をしたいと思っている会社は多いようだが、狙うべき導入効果が分からずに企画が通らない、企画は通ったが何から検討していいのか分からない会社も多いのではないだろうか。そうした会社のために実際の導入事例をベースにポイントをまとめた。

商談でiPadが大活躍――4つの導入効果

 先日、iPadの導入に成功している会社(A社とする)を取材してきた。A社では、商談でiPadが大活躍しているのだという。A社は、建築デザインを手掛けている企業。商談では、パースや設計図を見せることが多い。従来は、たくさんの書類を入れた重い鞄を持参していた。

 私も営業の経験があるから分かるのだが、分厚い書類を人数分入れた重い鞄は肩こりや腰痛の原因になる。だったらとキャスターバックを買ったりもしたが、普段使いには邪魔くさい。

 A社の社員はiPadを導入したことで、鞄が重い思いをしなくなっただけではない。iPadに商談リポートを書くためのアプリも入っているので、商談完了後は近くの喫茶店に入って、リポートを書けばよくなった。おかげで商談内容がほぼリアルタイムに共有できるようになった。加えて、会社に帰ってリポートを作成しなくてよくなったので直帰が増えたという。また、直行も可能となった。

 直行直帰が増えると残業時間も減る。休日出勤も減った。以前は、ちょっとした資料閲覧や情報共有のために休出する社員が多かったのが、iPadで家から見られるようになったことで激減したのだ。

 そして1番の効果は、営業マンが会社にいる時間が減ったがために商談機会も増え、商談自体も高度化(この辺は後述します)したおかげで、売上が増えたことだ。

 A社の導入効果をまとめてみよう。

  • 重い書類を持参せずに済むようになった
  • 商談内容がほぼリアルタイムに共有できるようになった
  • 直行直帰が増え、休出が減ったので、トータルの残業時間が激減した
  • 商談機会が増え、商談自体も高度化し、売上増につながった

まずはニーズを探るために試験導入してみる

 個人の使用端末を業務でも利用できるようにする「BYOD(Bring Your Own Device)」など、最近はスマートフォンやタブレット活用の話題が花盛りだ。ただ、前述のA社のように絵に描いたような導入効果を挙げている事例はあまりないように思う。

 A社は、どのようにしてここまでの成功を手に入れたのだろう?

 まずは、ニーズを探るために試験導入してみたことだ。導入を主導した部門は、最初に社員数の1割に満たない台数のiPadを購入。これを希望者に登録制で配布した。配布条件は、一定期間使用した後にリポートを書いてもらうというもの。

 主導部門は、主な利用機能はメールとワークフロー(申請・承認システム)だろうと想定していた。ところが実際に使ってもらうと、実は商談やプレゼンで使われることのほうが多かった。そして、そのニーズを満たそうと考えたのが、導入成功の第1歩だったのだ。

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