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» 2013年11月05日 08時50分 UPDATE

トップ1%だけが実践している集中力メソッド:スティーブ・ジョブズも毎朝やっていた! 集中できない時の最終兵器 (2/2)

[永田豊志,Business Media 誠]
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集中できないときは、ボールの縫い目を見よ!

 テニスコーチのティモシー・ガルウェイは、試合中、選手の心の中には2つの異なる人格がいるといいます。それは命令を下し、その結果を非難する「セルフ1」と身体能力を司り、実際にプレイを行う「セルフ2」です。

 セルフ1は、行動や結果の良し悪しを意識しようとすると、とたんに優勢となります。例えばミスショットを後悔したり、それによってスコアが劣勢になったことを嘆いたり、悪い試合結果が頭をかすめたりするとき、セルフ1は助長され、ますますセルフ2を非難して、セルフ2は思ったようなのびやかな動きができなくなるのです。

 テニスの試合に限らず、集中しなければならないような大事な局面、例えば重要なプレゼン、就職の面談などでは、ちょっと失敗するとセルフ1はすぐに、「何てことをやってくれたんだ!」とセルフ2を非難し始めます。実際にセルフ1は実行する主体ではありません。ただ、結果を見て言葉でセルフ2を非難するだけです。

 一方で、完全に集中している状態ではセルフ1による非難は消え去り、セルフ2はその能力を十分出しきって高い成果を上げることができます。そのため意識を「今」に集中することが重要です。結果の善悪を判断せず、目の前の課題に注意を注ぐことです。

 例えば、テニスの試合中には「飛んでくるボールの縫い目を見る」といいとガルウェイは説いています。飛んでくるボールの縫い目を見ることは難しいので、自然と現在のボールの状態に集中することが必要になり、セルフ1は沈黙します。そしてボールの動きを高い精度で知覚できるために、意識しないうちに自動的にスイングが改善されるといいうのです。

 私たちの集中体験に、ガルウェイのメソッドを生かすとすれば、2つ。まず、集中するときには「1点を見つめる」のが有効だということ。私は作業中に時折、MacのDisplay正面に刻まれたアップルマークをじっと見ることがあります。1分くらいほかのことを考えずに見つめることができれば、邪念はずいぶん払うことができるでしょう。

 もう1点は、「今やるべきことに対して、その結果や過去の成績は一切気にしない」ことです。やると決めたからには、一切の疑念を持たず、また失敗なども気にせずに思う存分トライすることです。戦略や戦術は事前に計画するものです。しかし、ひとたび作戦を実行する段になれば、そのことだけに集中しなければいけません。もし、戦場で戦略についてあれこれ議論していたらどうなることでしょう。危なっかしくてしょうがありません。戦場では作戦そのものに集中しないと危険です。

深い、深い、リラックスのためには「呼吸」を見なおせ!

 かのジョブズは東洋文化や瞑想に傾倒していたことでも知られています。土曜日の朝には坐禅を組み、瞑想に傾倒しました。ジョブズが宗教的指導者と仰いだ故・乙川弘文さんは曹洞宗の僧侶でした。禅の思想が余計な機能を廃し、シンプルさを追求するアップル社の製品につながったとも言われます。しかし、ジョブズのようなカリスマ性を持った人物が瞑想にハマるのはなぜでしょうか?

 世界的に有名な心理学者・脳神経学者であるリチャード・デビッドソンは、ハーバード大学の在学中に非常に面白い実験を行いました。それは、瞑想の経験があり、その経験年数の異なる58人の被験者を集めた実験でした。その結果判明したことは、「瞑想の経験年数が長い人ほど不安感が少なく、物事に対する集中力が高い」ということでした。

 だからこそ瞑想によって心をコントロールすることができれば、脳を自分の思うように作ることができるわけです。生まれつき集中力や注意力が散漫な人でも瞑想や心をコントロールするトレーニングによって、集中力を強化することができるのです。そのもっともかんたんな方法「呼吸法」がリチャード・デビッドソンの『The Emotional Life of Your Brain(邦題:脳には、自分を変える6つの力がある)』でに紹介されています。

集中力を高めるための呼吸法

  1. 椅子あるいは床に背筋を伸ばして座り、他の部分はリラックスする
  2. 呼吸に集中し、それが体の細部でどのように影響しているか、腹が息を吸い込み、吐くたびにどのように動くのかを心の目で観察する
  3. 鼻先に意識を向け、呼吸するたびにどのような感覚が生じているかに集中する。
  4. 無関係な思考や感覚で注意がそれてしまったら、もう1度、意識を呼吸に戻す

 瞑想の基本は、何といっても呼吸です。口から息を吐き出し、鼻から吸います(吸うより吐き出すことを中心に考えたほうがうまくいきます)。そして胸ではなく、複式呼吸で、1つの呼吸は長くゆっくりです。目は開いていても、閉じていても構いません。会社では坐禅はできませんが、椅子に座って肩の力を抜き、手を軽くひざ上に置くといいでしょう。

 5分から10分のこの呼吸法を日に2回やることをリチャード・デビッドソンは薦めていますが、私は、こうした呼吸法を仕事の合間に短く入れることを皆さんにオススメします。私自身は仕事中、15分程度を1つのユニットとして集中し、それを繰り返しています。1時間であれば、4回繰り返します。ユニットの間では、リラックスすることが大事です。15分により集中するためにも、休憩時には体の力を抜いて呼吸法を試してみましょう。

 瞑想がうまくいくと、脳がアイドリング状態になります。脳は処理すべき仕事がなくなると、「デフォルトネットワーク」といって、脳にあるさまざまな感情や記憶を整理してくれるのです。不要なものは捨て、必要なものだけを残します。問題となっていることの解決の糸口を思い付くのも、こうした脳のアイドリング状態です。集中は脳の力を一斉動員している状態ですから、アイドリング状態を入れることによって、集中を何度も繰り返すことがスムーズに行くのです。

 次回は、誰もが知る有名人の「ありえへん集中力!」を紹介します。お楽しみに!

連載『トップ1%だけが実践している集中力メソッド』とは

『トップ1%だけが実践している集中力メソッド』 『トップ1%だけが実践している集中力メソッド』(永田豊志・著、かんき出版・刊、ソフトカバー/216頁、本体1470円)

 成功者ばかりを生み出している幼児教育プログラムのエッセンスをヒントに、大人でも、仕事や夢の実現のために集中力を総動員させるための技術についてまとめたものです。集中力がもたらす奇跡を知りたい方は、ぜひ一読ください。

著者紹介:永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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