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» 2013年11月15日 11時00分 UPDATE

ICHIROYAのブログ:社内の給与格差は12倍以内に抑えよ――スイスの国民投票、結果はいかに

会社の最低月給が10万円だとしたら、経営幹部の最高月給は120万円以内、年収は1440万円以内に制限する――。社内の給与格差を12倍以内にとどめる制度の是非を問うスイスの国民投票が注目を集めている。

[和田一郎,Business Media 誠]

この記事は、ブログ「ICHIROYAのブログ」より転載、編集しています。


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 11月24日、スイスで行われる国民投票の結果がどうなるのか、大きな興味をもっている。

 国民投票で問われるのは、同一会社内の最高の月給が最低給与の人の年収を超えてはならないとする「1:12イニシアティブ」だ。もし最低の月収が10万円であるとすれば、年収は120万円。経営幹部の最高月給は120万円以内、年収は1440万円以内に制限されることになる。

 スイスの国民投票は、10万人以上の署名を集めれば実施される仕組みで、過激な提案がされることも多い。大きな話題になった、国内のすべての成人を対象としたベーシックインカム制度の導入(無条件で毎月2500フラン(約27万円)を支給する)の是非を問う国民投票も控えている。

 今回の投票に関しては否決を予想する向きも多いが、可決の可能性もないわけではない。

 すでにこの3月には、企業トップの報酬に関して、株主に広範な権限を与えて株主がその額に認否を与える提案「ミンダー・イニシアティブ」が、国民の68%の賛成を得て可決されている。

 今回の提案が通れば、どういうことになるだろうか。

 この提案のリーダーのひとりであるスイス社会民主党のデビッド・ロス氏は1:12イニシアティブの狙いについて、ビジネス・インサイダー誌のインタビューに次のように答えている。

  • 我々の提案が、最高報酬を額として示さず、同じ会社の最低給与を比較基準にしたのは、最高の給与を得る人と最低の給与で働く人の関係改善を望んでいるからだ。
  • 高額報酬はなくなっても、お金は消えない。そのお金は、一般の労働者にまわしてほしい。

ビジネス・インサイダー誌より引用)

 なぜ、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)の調査でも生活満足度の高いスイスが、今、なぜそんな過激な改革をしなければならないのか、という問いに対しては次のように説明している。

  • 30年前の給与格差はせいぜい1:6。スイス国民は慎み深く生きてきたのだ。100倍以上の給与を得るようになったのは、せいぜいここ15〜20年のことだ。
  • 1:12イニシアチブに反対する人は、「そんなことをすれば大きな企業はスイスから逃げ出してしまう」というが、大企業がスイスにいるのは、豊かで教育の行き届いた安全な社会がここにあるからで、決して経営陣が高額報酬を受け取れるからではない。

ビジネス・インサイダー誌より引用)

 さて、僕自身は、この提案が通ればすてきだなと思っている。もちろん、反対の意見の人も多いだろう。

 24日の投票結果が楽しみだ。

著者プロフィール:和田一郎

アンティーク・リサイクル着物を国内外へ販売する「ICHIROYA」代表。昭和34年生まれ。京都大学水産学科卒業後、大手百貨店に入社。家庭用品、販売促進部など。19年勤めたのち、2001年に自主退職して起業。現在に至る。趣味はブログ執筆。


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