「正社員」と「給料0円のベンチャーCMO」2つの顔を持つ男――STORYS.JP大塚雄介氏の働き方どちらも“大事な本業”(2/2 ページ)

» 2013年11月22日 11時00分 公開
[CAREER HACK]
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本業・副業ではなく、どちらも大切な本業。

―― 本業を持ちながらスタートアップで働くのは大変だと思います。日々のスケジュールはどういった感じなんでしょう?

大塚氏: 平日は20時まで、ネクスウェイで仕事。そこから移動して、24時くらいまでこちらの仕事をする、という感じです。休みの日は、午前中からSTORYS.JPにかかりきりですね。移動中もずっと仕事してますし、寝ているときでも問い合わせがあれば対応してます。

―― めちゃくちゃハードワークじゃないですか! 奥様とか怒りませんか?

大塚氏: 幸い、理解のある妻で(笑)。というより、この働き方に切り替える前に了承を取ったんですよ。「家事も、家族サービスもきちんとする。仕事をいいわけにしないから挑戦させてほしい」と伝えて。そこで妻がOKしてくれたことも、現在の働き方を続けられている大きな理由です。

 なによりお給料をいただいているネクスウェイでの仕事に、影響を出さないことが大前提。「STORYS.JPが忙しいので早退します」なんてありえませんし。もちろんSTORYS.JPにも、「ネクスウェイが忙しくて、約束の納期に間に合わない」なんて言えません。

 家族にも、会社にも迷惑をかけないこと。これは、覚悟として持っています。だからダブルワークとはいっても、本業・副業という分け方は、私の場合適切じゃないかもしれません。どちらも大切な本業。そういう意識で働いています。本業があるから、副業がうまくいかなくてもいいや、なんてもってのほかです。どちらもきちんと両立させる。その意識が徹底していないと、なかなかこういった働き方は難しいと思います。

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 「なんで無報酬でそんなことしてるの?」なんて聞かれることも多いですが、そういうときには「いや、これは私の趣味なんですよ」って返しますね。例えば、仕事以外の時間でバンドをしたり、ゴルフをしたりする人はいますよね。感覚としてはそれにすごい近い。もちろん趣味って言ったら怒られそうなときは「仕事です」って伝えますが(笑)

 個人的には「自己投資」という意識が強いかな。自分の時間を有意義に使う。そして、自分の空いている時間を最大限有効に活用するためSTORYS.JPに参加したんです。もちろんビジネスである以上、一般的な趣味のように自由に始めたりやめたりはできません。私自身も、自分の時間を投資したぶんは必ずサービスの成長というカタチで回収するつもりですよ。

ダブルワークを通じて、広がった世界・手に入ったもの

―― いまの働き方になって、仕事の進め方などに変化はありましたか?

大塚氏: これはもう、劇的に違います。以前はネクスウェイで一番最後に帰るキャラ、日をまたぐ時間まで働いて帰るのが当たり前。以前は、やっぱり間延びしている部分があったんです。仕事の優先順位をきちんとつけていなかったり。なんとなくダラダラと仕事をしてしまったり。今では、20時までに必ず仕事を終わらせる意識を強く持って働いています。

 とにかく、ムダを省く。その日の仕事は、その日のうちに必ず終わらせる。その意識が徹底的に身についたことは、思わぬ副産物でしたね。

―― はたから見ているだけでは分からないプラス面があるんですね。大塚さんのような働き方を、周囲の方にオススメはできますか?

大塚氏: いや。万人にオススメできる働き方ではないと思います。私の場合は、たまたま自分の感性に響く新しいサービスと魅力的な作り手と出会え、共感できた。家族をはじめ、会社の上司や仲間からも理解も得られた。いくつもの偶然が重なった結果のような気がします。

 ただ、「世の中に影響を与えたい」「これまでにないサービスを生み出したい」そんな意志と覚悟があるなら、一歩踏み出してみる価値はあります。まず、自分の培ってきた知見を別の場所で生かすのは純粋に面白いです。それに、今までの会社では出会わなかったような方たちに出会える機会も増えました。

 例えばユーザーさんにインタビューすると、サービスへの反応をダイレクトに感じることができる。自分たちのサービスが、確かに誰かの人生を変えている。引いては世界に影響を与えてる。STORYS.JPはBtoCのサービスなので、そんな実感を今まで以上に感じることができます。

取材:松尾彰大

文:白濱久史

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